
保水性舗装と透水性舗装の基本的な違い
道路や歩道、公園の地面にはさまざまな種類の舗装があります。中でも保水性舗装と透水性舗装は、どちらも環境にやさしい舗装技術として注目されていますが、名前は似ていても役割や仕組みが違います。
保水性舗装は、舗装材や表面に水を吸収・保持する力を持たせて、周囲の温度上昇(ヒートアイランド現象)を緩和することが目的です。つまり、舗装自体が水をためておき、のちに蒸発させることで冷却効果を生み出します。
一方、透水性舗装は地面に浸み込む雨水を舗装表面で逃がすしくみです。舗装表面に細かな隙間(空隙)を設け、雨水を速やかに地中へ浸透させ、排水設備の負担軽減や水たまりの防止に役立ちます。
このように保水性舗装は水をためること、透水性舗装は水を通すことが大きな違いです。
保水性舗装の特徴とメリット
保水性舗装は、舗装表面や材料がスポンジのように水分を保持できる構造になっています。たとえば、多孔質な素材を用いたり、特殊なフィルムを組み合わせたりします。強みは以下のような点が挙げられます。
- ヒートアイランド対策:街中の温度上昇を抑え、快適な環境づくりに貢献します。
- 雨水をためることで蒸散冷却:気化熱により周囲の温度を下げる効果があります。
- 短時間での温度変化緩和:昼夜の温度差を和らげ、舗装のひび割れを防ぎます。
ただし長期間保水するわけではなく、雨水を吸収してすぐに蒸発させることが前提なので、防水性というよりは水の管理に特徴があります。
透水性舗装の特徴とメリット
透水性舗装は、文字どおり水をスムーズに地面へ通しやすくする舗装のことです。通常のアスファルトやコンクリートよりも空隙の割合が多く、雨水を舗装表面でためることなく地下に逃がします。メリットは以下です。
- 雨水の自然浸透促進:雨水が下水に流れ込む量を減らし、水辺の環境に優しい。
- 水たまりや排水設備の負担軽減:道路の冠水防止や浸水被害の軽減に役立ちます。
- 冬季の凍結や滑りにくさの改善:水はけが良いため安全性も高まります。
しかし、透水性が高い分だけ強度がやや劣ったり、メンテナンスで目詰まりしやすいデメリットもあります。
保水性舗装と透水性舗装の比較表
項目 | 保水性舗装 | 透水性舗装 |
---|---|---|
目的 | 水を保持して周辺を冷やす | 雨水を地中に浸透させる |
水の扱い方 | 水をためて蒸発冷却 | 水を通して排水 |
主な効果 | ヒートアイランド緩和、温度変化軽減 | 排水改善、水害防止、環境保護 |
構造 | 多孔質材料または保水層 | 空隙率高く水が通る構造 |
デメリット | 水保持時間は短い、施工コストや管理 | 強度がやや劣る、目詰まりしやすい |
まとめと選び方のポイント
環境に配慮した舗装の中でも保水性舗装と透水性舗装は似ているようで異なる役割を持っています。
都市の暑さ対策を目的にするなら保水性舗装、豪雨や水はけの悪さを改善したいなら透水性舗装が適しています。
また双方は組み合わせて使われることもあり、地域の気候や用途に応じて最適な舗装技術を選ぶことが大切です。
日常生活で安全かつ快適な街づくりに役立つ技術として、今後ますます注目されるでしょう。
保水性舗装について面白い話をしましょう。保水性舗装は舗装が水を“ためる”ことができるのが特徴ですが、ただ水を吸収するだけでなく、その水を蒸発させることで周囲の温度を下げる自然のエアコンのような役割を果たします。
実は、保水性舗装の仕組みは植物の蒸散に似ているんです。植物が水を吸って葉から水蒸気を出すことで周囲を冷やすように、保水性舗装も気化熱を利用して地面の温度上昇を抑えています。
だから、夏の暑い日に歩道の温度が下がるのは舗装が水をためていて、その水が気化している証拠。まるで舗装が“汗をかいて”涼しくしてくれているみたいですよね。
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