
はじめに:硬度って何?ビッカース硬度とロックウェル硬度の基礎知識
金属や材料の硬さを測る方法はたくさんありますが、その中でも代表的なのが「ビッカース硬度」と「ロックウェル硬度」です。
硬度は、物質がどれくらい傷つきにくいか、押されたときにどれくらい耐えられるかを数字で表したものです。
今回は、ビッカース硬度とロックウェル硬度の違いをわかりやすく解説し、どんな特徴があり、どんな場合に使われるのかを詳しく紹介します。
ビッカース硬度って何?特徴と測定方法
ビッカース硬度は、ダイヤモンドの四角すい形の押し子を使って材料に一定の圧力をかけ、押し込まれた跡の対角線の長さから硬さを計算する方法です。
特徴は以下の通りです。
- 細かい部分も測れるほど精密で小さなサイズの試料に対応
- 金属材料の表面硬度を正確に測れる
- 硬度の値は「HV(Vickers Hardness)」という単位で表される
- 測定した跡が小さいため、試料をほとんど傷つけない
この硬度は、薄い材料や表面処理された部分の硬さを知りたいときに適しています。
しかし、測定に時間と手間がかかる面もあります。
また、印刷されたダイヤモンドの跡を顕微鏡で正確に測定する必要があります。
ロックウェル硬度とは?特徴と測定の流れ
ロックウェル硬度は、鋼球やダイヤモンドの円錐形の押し子を使い、一定の荷重をかけて材料に押し込んだ深さを直に測定する方法です。
この方法の特徴は:
- 押し込み深さを直接測るため、測定が速い
- 試料へのダメージが比較的小さい
- 値は複数のスケール(A、B、Cなど)で表されるため、用途や材料に合わせて使い分けが可能
- 硬度値は「HR(Rockwell Hardness)」と呼ばれる単位を使う
さらに、ロックウェル硬度計は簡単に操作でき、生産ラインなどでもよく利用されます。
ただし、ビッカースと比べると、非常に薄い材料や細かい部分の測定には向いていません。
ビッカース硬度とロックウェル硬度の違いをまとめた表
項目 | ビッカース硬度 | ロックウェル硬度 |
---|---|---|
押し子の形状 | ダイヤモンドの四角すい | ダイヤモンドの円すいまたは鋼球 |
測定方法 | 押し込み跡の対角線の長さを測る | 押し込み深さを直接測る |
硬度単位 | HV(ビッカース硬度) | HR(ロックウェル硬度) |
測定対象 | 薄い試料や表面処理面 | 厚い部品や大量生産品 |
測定精度 | 非常に高い | 比較的高いがビッカースより劣る場合あり |
測定時間 | やや長い | 速い |
測定跡の大きさ | 非常に小さい | 大きめ |
どんな時にビッカース硬度やロックウェル硬度を使い分ける?
一言で言えば、測りたいものや使いたい場面に応じて使い分けることがポイントです。
例えば、精密部品や薄い金属の硬さを知りたい時はビッカース硬度、
強度の大きな部品や大量の部品を効率よく測る時はロックウェル硬度がよく使われます。
また、どちらも互いに置き換えられるものではなく、それぞれの測り方にメリットとデメリットがあります。
そのため、素材や形状、測りたい硬さの範囲や精度から判断して選ぶのが良いでしょう。
最後に、実際の工場や研究現場では両方の硬度測定が活用されていることが多いので、知っておくと役立つ知識です。
ビッカース硬度って、実はダイヤモンドの小さな4角すいで押して測るんですけど、この押し跡を顕微鏡で見て対角線の長さを測るというとても精密な作業が必要です。
だからこそ、薄い金属や塗装の表面の硬さを詳しく調べるのに向いているんですね。
意外と知られていないのは、この方法は試料をあまりキズつけずに済むということ。硬さを正確に知りたいけどあまり壊したくない時には重宝される硬度なんですよ。