
疲労限度とは何か?
材料の強さを考える時に重要な言葉のひとつが疲労限度です。疲労限度とは、同じ材料に繰り返し力を加え続けた場合に、材料が壊れずに耐えられる最大の応力のことを言います。
普段の生活の中でも、例えば橋や飛行機の骨組み、車の部品など、多くの部品に繰り返し負荷がかかります。こうした繰り返しの負荷によって、材料が突然壊れてしまうことを防ぐために、この疲労限度はとても大切です。
疲労限度は人間の体でいうと、毎日同じ筋肉を使い続けるようなものです。使いすぎると疲れてダメージが蓄積し、最終的に壊れてしまいます。しかし疲労限度を下回る力なら、理論的には何度でも繰り返し使うことができます。
降伏点とは何か?
一方、降伏点は材料に力を加えた瞬間の限界を表します。具体的には、材料が変形を始めるときの応力の値です。
例えば、ゴムを引っ張ると伸びますが、ある程度を超えて伸ばすと元にもどらなくなり形が変わります。金属の場合で考えると、降伏点を超えると永久的な変形(塑性変形)が始まります。このため、降伏点は材料の使える限界の目安となることが多いです。
降伏点より小さな力なら、変形しても元に戻るので安心ですが、越えてしまうと元に戻らない変形が起き、ついには壊れてしまう場合があります。
疲労限度と降伏点の違いをわかりやすくまとめると
疲労限度も降伏点もどちらも材料の強さを示す言葉ですが、役割が違います。
疲労限度は「繰り返し使っても壊れない限界の力」、降伏点は「一度の負荷で変形し始める力」です。つまり、疲労限度は長く使うときの耐え方、降伏点は一瞬の力に対する耐え方と考えてください。
それぞれが使われるシーンも違います。例えば飛行機の部品では、繰り返し負荷に耐える疲労限度がとても重要。一方で、車のシャーシの強さを考えるなら、急な衝撃で形が変わるかどうかを示す降伏点が重要です。
下の表に簡単に比較をまとめました。
疲労限度と聞くと、単なる「強さ」の指標と考えがちですが、実は疲労限度は材料が何回も何回も繰り返し使われた時にこそ真価を発揮します。普通の強度テストは一回だけの力をかけますが、疲労限度は速いサイクルで何万回、何百万回という回数を想定。まるで人間が毎日ずっと同じ動きを繰り返しているようなものですね。だからこそ、飛行機や橋の安全設計にはこの疲労限度が特に重要で、ちょっとの違いが大事故を防ぐポイントになります。想像以上に奥が深いんです。
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