
スランプフロー試験とスランプ試験の基本的な違いとは?
コンクリートの品質を確かめる方法として、スランプ試験とスランプフロー試験があります。どちらもコンクリートの流動性や作業性を測定するための重要な検査ですが、それぞれ特徴が異なります。
まず、スランプ試験は固めのコンクリートの性質をチェックするための試験で、コンクリートの「スランプ」の高さを測ります。スランプとは、コンクリートが型から外れたときにどれだけ垂れ下がるかのことで、これはコンクリートの柔らかさの目安となります。
一方で、スランプフロー試験は流動性の高い、つまりよりやわらかくて流れやすいコンクリート向けの試験です。この試験では、コンクリートを型から流動させた後に広がり具合(フロー)を測定し、どのくらいコンクリートが広がったかで柔らかさを判断します。
このように、スランプ試験は比較的硬さのあるコンクリート、スランプフロー試験は流動性の高いコンクリートに適用される点が大きな違いです。これらの試験を使い分けることで、コンクリートが設計通りの性能を持つかどうかをチェックすることができます。
スランプ試験の方法と特徴
スランプ試験は、円錐形のスランプコーン(型)にコンクリートを入れ、その後型を持ち上げて、コンクリートがどれだけ沈むかを測ります。
測定手順は次の通りです。
- スランプコーンを平らな台の上に置きます。
- コンクリートを3回に分けてコーンに入れ、それぞれの層を棒で押し固めます。
- 完成した型をゆっくりと真上に引き上げます。
- コーンを外した後のコンクリートの頂点と型の高さの差(沈み具合)を測定します。
この沈み具合が大きいほどコンクリートは柔らかく流動性が高いと判断されます。
一般的に、普通のコンクリートのスランプは約5〜18cmで、これを超えると作業性に問題が出ることがあります。
スランプ試験は、比較的硬めのコンクリートの硬さを簡単に評価できる方法で、現場で最も使われることが多い試験です。
スランプフロー試験の方法と特徴
スランプフロー試験は、特にセルフレベリングや流動性が高いコンクリートを対象とした試験です。
スランプコーンにコンクリートを満たし、ゆっくりと型を持ち上げた後、コンクリートが自然に広がる直径を測定します。
この広がりの大きさが大きいほど、コンクリートは流動性が高いと評価されます。
方法は以下の通りです。
- スランプコーンを地面に置きます。
- コンクリートを満たし、棒で軽く押さえて空気を抜きます。
- コーンを静かに垂直に持ち上げます。
- コンクリートが自然に広がり、広がった円の直径を2方向から測定します。
この試験は、生コンに添加される流動化剤の効果を確認したいときや、流動性が非常に高い場合に有効です。
なお、スランプ試験では測りにくい柔らかさのコンクリートにも対応できるため、多様なコンクリート品質管理に役立ちます。
スランプ試験とスランプフロー試験の比較表
項目 | スランプ試験 | スランプフロー試験 |
---|---|---|
対象コンクリート | 比較的硬いコンクリート | 流動性が高いコンクリート |
測定方法 | コーンを外した後の沈み具合を測定 | コーンを外した後に広がる直径を測定 |
評価基準 | 沈みの高さ(cm) | 広がりの直径(cm) |
用途 | 通常の現場検査 | 流動性や自己充填性の評価 |
以上のように、スランプ試験とスランプフロー試験は似ているようで目的が少し違い、使い分けることでより正確にコンクリートの性質を知ることができます。
現場や製品の特性に応じて適切な試験を選びましょう。
スランプ試験って、ただコンクリートの柔らかさを測るだけだと思われがちですが、実は作業しやすさを数値で把握するとても便利な方法です。例えば、硬すぎると型枠がうまく埋まらないし、柔らかすぎると強度が落ちるので、適正なスランプ値を保つことがとても重要なんです。これが建物の強さや長持ちに直結していると思うと、スランプ試験の意味がもっと身近に感じられますよね。