
座屈と破断の基本的な違いとは?
鉄やアルミ、木材などの構造物を使うときに、よく聞く言葉に「座屈(ざくつ)」と「破断(はだん)」があります。これら二つはどちらも物が壊れる現象ですが、性質や原因が異なります。
簡単に言うと座屈は圧力により物がぐにゃっと曲がってしまうことで、破断は物が割れてバラバラになる現象です。例えば、細い棒を押しつぶすと曲がってしまうことがありますが、これが座屈です。一方で、鈍器で棒を強く叩いて割ってしまうのが破断です。
座屈は棒や柱などの細長い部分で起こりやすく、破断は材料の強度限界を超えた時に起こります。つまり、座屈は変形による故障、破断は材料の割れや断裂を指しています。
座屈と破断が起きる仕組み
座屈が起こるのは、構造物が圧縮(つぶされる力)を受けるときです。
例えば、柱を上から押すと、ある一定の限界を超えると真っすぐでいられず曲がってしまいます。これはで、この現象を座屈現象といいます。
座屈にはいくつか種類がありますが、最も一般的なものは柱が側方に曲がる「側方座屈」と、部材の一部が波打つ「波状座屈」です。この現象は目で見てわかるほどの形の変化を伴うことが多く、構造物の変形で安全性が損なわれるため危険です。
一方、破断は材料の引っ張り強度や曲げ強度を超えたときに起こります。材料自体が割れたり、バラバラになって機能を失う現象です。破断は急に起こることが多く、例えば金属の棒を引っ張ってプツンと切れるイメージです。
このように、座屈は「曲がる」という変形に注目されるのに対し、破断は「割れる」「千切れる」といった壊れ方の違いが明確です。
座屈と破断の見分け方と対策
構造物の設計や点検において、座屈と破断の違いを理解して適切に対応することが重要です。 座屈について少し面白い話ですが、座屈は単なる“曲がり”に見えても実はかなり複雑な現象です。実験では座屈の位置や形がほんのわずかな製造誤差や温度の違いで変わることがあります。だから構造物の設計者は座屈の予測に苦労するんですね。座屈が起きると形が変わるためまだ壊れていないように見えますが、この変形で強度は大幅ダウンです。なので座屈は「次に壊れるかもしれないサイン」として重要なんですよ。 前の記事:
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座屈は圧縮力が原因なので、部材の長さを短くしたり、断面積や断面形状を工夫して強度を上げることで防げます。例えば柱を太くしたり、中に芯材を入れたりするのが効果的です。
破断は材料の強度そのものが限界を超えたために起こるため、材料の選定や欠陥の管理がポイントです。適切な金属・プラスチックなどの素材を選び、ひび割れやサビなどの欠陥がないか日頃からチェックすることが大切です。
下の表で座屈と破断の違いをまとめてみました。項目 座屈 破断 原因 圧縮力による変形 材料の強度限界超過 現象 曲がる、波打つ 割れる、千切れる 起こりやすい部位 細長い柱や棒 全体や部分の断裂部 対策 断面形状の工夫・短縮 材料選定・欠陥管理
このように座屈と破断は似たような壊れ方に見えても、原因とメカニズムが異なり、それぞれに合った対策が必要です。
強くて安全な構造物を作るため、座屈と破断の違いを正しく理解しておきましょう。
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