
仮差押命令と差押命令って何?基本の理解から始めよう
まずは、仮差押命令と差押命令という言葉の意味についてお話ししましょう。
簡単に言うと、どちらも「相手の財産を一時的に押さえるための命令」ですが、その目的や手続き、効果に違いがあります。
仮差押命令は、裁判が終わるまでに、財産が相手に移ったり隠されたりしないように、急いで財産を押さえるための臨時の命令です。一方、差押命令は、裁判などで確定した判決や債務に基づき、実際に相手の財産からお金を取り立てるために出される命令です。
このように、仮差押命令は「急いで財産を保全するための仮の措置」、差押命令は「財産を実際に差し押さえて回収するための正式な措置」と理解しましょう。
仮差押命令と差押命令の主な違いを表で比較
それぞれの特徴を比較すると以下のようになります。
項目 | 仮差押命令 | 差押命令 |
---|---|---|
目的 | 裁判が終わるまで財産を保全する | 判決に基づく財産の回収 |
発令のタイミング | 裁判の途中や請求段階で可能 | 判決確定後 |
手続きの必要性 | 裁判所の許可が必要(緊急性が求められる) | 確定判決に基づく手続き |
効力の持続期間 | 一時的(裁判の判断まで) | 恒久的(債務の完済まで) |
目的性 | 権利保護のための予防措置 | 権利実現のための強制執行 |
このように、両者は使われる場面や目的が明確に異なります。
仮差押命令は裁判を有利に進める準備段階、差押命令は実際に権利を行使する本番の段階と言えます。
具体例でわかる!仮差押命令と差押命令の違い
例えば、あなたがお金を貸していて、返してもらえない場合を考えましょう。
まず、仮差押命令は「相手が財産を隠したり使ったりしないように、裁判が終わるまで一時的にその財産を押さえたい」場合に申し立てます。
その後、裁判であなたの請求が認められ、判決が確定したら、差押命令を使って正式に相手の財産からお金を取り立てます。
この流れを理解しておくと、仮差押命令は「守りの道具」、差押命令は「攻めの道具」とイメージしやすいでしょう。
仮差押命令と差押命令を使うときの注意点
どちらの命令も法律の手続きが厳格に決まっており、間違えると逆にペナルティを受けることがあります。
- 仮差押命令は、裁判所に対し財産を押さえる緊急性や必要性を示さなければなりません。根拠が薄いと請求を棄却されます。
- 差押命令は判決が確定していることが前提なので、その前に無理に財産を押さえようとすると違法になることもあります。
また、仮差押命令は基本的に一時的な処置なので、その後の裁判の結果次第で解除されることもあります。
そのため、専門家のアドバイスを受けて正しく手続きを進めることが重要です。
仮差押命令の面白いところは、「急いで財産を押さえたい!」という切実な事情を裁判所に認めてもらう必要がある点です。例えば、相手が財産を隠そうとしている可能性が高い場合に使われますが、もし裁判所がこの緊急性を認めなければ、仮差押ができません。まさに、リアルタイムでトラブルを防ぐ“ストップウォッチ”的な役割を果たすのが仮差押命令なんです。こう考えると、法律がいかに細やかで現実的な問題に対応しているかがわかってきますね。