
展開図と矩計図とは何か?
建築や設計の仕事でよく使われる「展開図(てんかいず)」と「矩計図(かなばかりず)」。名前は聞いたことがあっても、その違いを正確に説明できる人は意外と少ないかもしれません。
まず、展開図とは、建物の部屋や壁、天井などをまっすぐに切り開いて、平面にした図面のことをいいます。例えば部屋の四方の壁をそれぞれ平らにしてつなげたようなイメージです。設計者や職人さんが壁の配置や仕上げをわかりやすく把握するために使います。
一方、矩計図(かなばかりず)は建物の断面図の一種で、壁や床、天井などの厚みや高さ、構造的な詳細を正確に示す図面です。横から建物を切ったように見て、どんな材料がどの位置にあるか、寸法がどうなっているかをくわしく伝えます。
このように、展開図は主に部屋の内側の壁面を平らに見せる図、矩計図は断面で建物の構造を見せる図、という大きな違いがあります。
展開図の特徴と役割
展開図は、壁や天井、床の面などを広げたように見せるため、室内空間の形や仕上げ材、設備の配置場所を確認しやすくします。
例えば、クロスを貼る壁の範囲や扉、窓の正確な位置を示したり、配管や電気設備の配置計画にも利用されます。
また、展開図は現場での作業者にとっても重要な図面で、仕上げ方や部材の寸法を理解しやすくして施工ミスを減らします。
そのため、展開図は主に内装設計や施工の段階で使われることが多く、見た目のイメージづくりにも役立ちます。
ポイントは壁や天井の”面”を展開して平らに表現し、設計や施工の詳細をわかりやすく見せる役割です。
矩計図の特徴と役割
矩計図は建築の断面図の一種で、建物の床面から上を切り取った断面を詳細に示します。壁の厚さや床の構造、柱や梁の位置、高さ寸法などが記入されており、構造的な安全性や建物の形を確認できます。
たとえば、基礎から屋根までの高さや仕上げ層の厚み、断熱材の位置、屋根の勾配などを正確に示すことが矩計図の役割です。
設計段階での強度計算や構造の検討に使われ、建築士や構造エンジニア、施工者が建物の作りを理解・共有する際に欠かせない図面です。
重要なのは建物を横から見て、断面の構造や寸法を細かく示し、設計や安全確認の基礎情報を提供することです。
展開図と矩計図の違いをわかりやすく表で比較
項目 | 展開図 | 矩計図 |
---|---|---|
見方 | 壁や天井、床の面を切り開いた平面図 | 建物を横から断面で見た図 |
目的 | 仕上げや設備の配置をわかりやすく示す | 構造や寸法、断面情報の詳細把握 |
使う場面 | 内装設計や施工 | 構造設計や建築確認、安全検討 |
表現 | 壁の内側の面や仕上げ | 柱、梁、床、屋根などの断面構造 |
主な利用者 | 設計者、施工者、内装職人 | 建築士、構造技術者、施工監督 |
このように、展開図は平らな壁の面を示し、矩計図は建物を横断面で示し構造の厚みや高さを詳細に表現することが展開図と矩計図の大きな違いです。
建築初心者の方は、この二つの図面の役割をしっかり理解することで、設計図面の読み方がぐっと身近になり、建物の仕組みを楽しく学べます。
ぜひ展開図と矩計図の違いを押さえて、建築の面白さと奥深さを体感してみてください。
展開図の話をするとき、意外と知られていないのが“展開”という言葉の意味です。建築では、3Dの壁や天井を“展開”して平らな2D図面にすることを指します。
これはまるで箱状の部屋をばらして紙の上に広げるようなイメージ。これにより壁面の仕上げや設備配置が一目でわかり、職人さんたちは作業がぐっと楽になるんです。展開図のおかげで、複雑な空間もわかりやすく表現できるって、すごく便利ですよね。
中学生にもイメージしやすいこの考え方、実は建築以外の分野でも活用されることがあるんですよ。
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