
業務上横領罪と詐欺罪とは何か?基本を押さえよう
まずは業務上横領罪と詐欺罪の定義について説明します。
業務上横領罪は、会社や組織で働く人が業務の関係で預かったお金や物を、自分のものにしてしまう行為のことです。
例えば、会社のお金を勝手に使ったり、商品を盗んだりすることが該当します。
一方、詐欺罪は、人をだましてお金や物などを騙し取る犯罪です。嘘や偽りの説明や約束をして、相手から物を取ることを言います。
つまり詐欺罪は『騙す』ことが重要なポイントで、業務上横領罪は『預かった物を勝手に使う』ことに重点があります。
業務上横領罪と詐欺罪の法的な違いとポイント
次に、法律的な違いを見ていきましょう。
業務上横領罪は刑法第253条にあり、「業務の関係で占有している財物を不正に自分のものにすること」が罪になります。
重要なのは、その財物を預かっている立場にあることです。たとえ預かった人が横領しても、業務上横領になります。
一方、詐欺罪は刑法第246条に規定されており、人を騙して財物を取ること自体が犯罪です。これは、預かっているかどうかは関係ありません。
また、詐欺はだます行為が前提なので、その『虚偽の事実を用いて相手の意思を誤らせる』ことが必要です。
このように「預かっている立場かどうか」と「騙す行為の有無」が大きな違いになります。
業務上横領罪と詐欺罪の具体例と見分け方
実際の例で2つの違いを考えてみましょう。
- 業務上横領罪の例:会社の経理担当が会社から受け取った現金を、個人的に使ってしまう。
- 詐欺罪の例:友人に嘘をついて貸してほしいと言い、実際には返すつもりがない。
一見似ていますが、業務上横領は預かり物を勝手に使うのに対し、詐欺は騙して相手から奪うことがポイント。
この表で分かるように、どちらも重い犯罪ですが、行為の仕方に違いがあります。
お金や物を『預かる』人が思わずやってしまいやすい犯罪が業務上横領罪です。
ところで、横領という言葉は『むだに浪費すること』の意味でも使われますが、法律では『預かったものを勝手に使うこと』が罪とされています。
つまり一時的に預かった物を使い込むと犯罪になる、という点は意外と知られていません。
これを知っておくと、たとえばアルバイトでお金を扱うときも法律の意識を持てるかもしれませんね。
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