
インコタームズとは何か?
まずは「インコタームズ」について説明します。インコタームズとは、国際貿易で使われる取引条件のルールです。つまり、売り手と買い手がどこまでの費用や責任を持つかを決める約束ごとです。たとえば、商品を輸送する費用や関税、運送中のリスクが誰にあるのかを正しく分けることができます。
このルールは国際商工会議所が決めており、世界中の貿易で使われています。2020年に最新版の「インコタームズ2020」が発表され、よく使われる注文方法や配送場所、責任の範囲が明確にされています。
例えば、「FOB」や「CIF」などの略語があり、それぞれの意味によって売り手と買い手の責任範囲が決まります。
簡単に言うとインコタームズは『輸出入取引の決まりごと』で、売買契約書に取り入れることでトラブルを防げる便利な規則です。
建値とは何か?
次に「建値」について説明します。建値(たてね)とは、商品やサービスの売買で決められる価格のことを指します。特に輸出入や工事などで使われる価格の基準となる値段のことです。
簡単に言うと、「この商品はいくらで売買しますよ」という約束の値段です。建値は市場の動きや原材料の価格、運送費、為替レートの変動などによって変わることがあります。
また「建値」は単なる価格の提示だけでなく、契約交渉の基準となることも多いです。たとえば、原材料が高騰すると建値が上がることもあります。
要するに建値は『売買される商品の基準価格』ということができます。
インコタームズと建値の違い
では、インコタームズと建値の違いは何でしょうか?
大きな違いは、「インコタームズは取引のルール・責任範囲を表す一方、建値は商品の価格そのものを示すもの」です。
わかりやすく言うと、インコタームズは「どこからどこまでの費用や責任は誰が持つのか」、建値は「商品はいくらで売り買いするのか」を示しています。
両者は輸出入取引をスムーズにする重要な要素ですが、使う意味が違うので混同しないようにしましょう。
以下の表で違いをまとめてみました。
このように、インコタームズと建値は役割が違い、国際貿易の取引を成り立たせるために両方が必要です。
また、インコタームズで責任範囲を決めた上で、その範囲内での建値が設定されるイメージです。
例えば、CIF条件(売り手が運賃と保険料を払う)なら、その条件を踏まえて建値は少し高くなるかもしれません。
つまりどちらも輸出入取引の成功に欠かせない重要な要素です。
「インコタームズ」は国際貿易の責任や費用の分担を決めるルールですが、実はこのルールがなかった時代はトラブルがとても多かったんです。例えば、どこで売り手の責任が終わるのか分からずに商品が途中で傷ついても、補償を誰がするのか決まっていなかったため、話が長引いてしまうことが多かったんですね。そのため、世界中で共通のルールとして「インコタームズ」が生まれました。こういう背景を知ると、商売におけるルールの大切さがより身近に感じられますよね。