
監査報告書と監査調書の違いとは?基本を押さえよう
会社の経理や財務の専門家でなくても、「監査報告書」と「監査調書」という言葉を聞いたことがある人は多いかもしれません。どちらも監査に関する書類ですが、実は役割や目的が大きく違います。
まず、監査報告書とは、監査人が会社の財務状況をチェックし、その結果をまとめた報告書のことです。株主や金融機関、投資家など、会社の外の人に向けて作成されます。
一方、監査調書は、監査人自身が監査をする過程で作成する記録のことをいいます。監査の進め方や確認した内容、考えたことなどが細かく書かれていて、社内向けの資料として使われることが多いです。
このように、監査報告書は結果を伝える書類であるのに対し、監査調書は監査の過程を記録した書類だという点が大きな違いです。
さらに詳しく、それぞれの特徴や使い方を見ていきましょう。
監査報告書の役割と特徴
監査報告書は、会社の財務諸表(損益計算書や貸借対照表など)が正しく作られているかどうかを監査人がチェックし、その結果をまとめた正式な文書です。
主な特徴は次の通りです。
- 会社の外部の人が読むことを想定して作られる
- 監査意見という形で、監査人が財務諸表の信頼性について評価する
- 法的に提出が義務付けられている場合もある
- 内容は多くの人に分かるよう、比較的わかりやすくまとめられている
たとえば、株主が会社の経営状態が正確に伝えられているか知りたい時、監査報告書を見ることで信頼できる情報かどうか判断できます。
このように、「正しく報告する」ための書類が監査報告書と言えます。
監査調書の役割と特徴
監査調書は、監査がどのように実施されたかを細かく記録するための内部資料です。
特徴は以下の通りです。
- 監査の方法や手続き、検証した証拠などが詳細に書かれる
- 監査人自身や監査チームが監査の正確さと一貫性を確認するための資料
- 外部には基本的に公開されない
- 問題が発生した際の説明資料や証拠として活用される
実際の監査ではチェックリストや質問票、会社からの資料などを分析し、その過程をすべて監査調書にまとめます。
つまり、「監査の過程を記録し、監査をより信頼できるものにする」ための資料が監査調書です。
監査報告書と監査調書の違いを表で比較
項目 | 監査報告書 | 監査調書 |
---|---|---|
目的 | 監査結果の報告 | 監査過程の記録 |
対象 | 会社の外部(株主・投資家など) | 監査人や監査チーム内部 |
内容 | 財務諸表の評価や監査意見 | 監査の進め方、証拠、検討事項 |
公開の有無 | 基本的に公開される | 基本的に非公開 |
法的義務 | ある場合が多い | 原則義務はないが作成が推奨される |
まとめ
「監査報告書」と「監査調書」は、どちらも監査に関わる重要な書類ですが、役割、対象、内容が異なるため混同しないことが大切です。
監査報告書は会社の財務情報が正しいか外部に伝えるための「報告書」。
監査調書は監査の実施過程を記録し、監査の質を高めるための「内部資料」。
理解しておくと、会社の財務や監査についてニュースや資料をみた時に、より内容を正しく理解できるようになります。
ぜひこの記事を参考にして、ご自身の知識を深めてください。
監査調書って、一見すると地味な書類ですが、実は監査の“台本”のようなものなんです。監査人は調書に、どんな資料を見て、どんな質問をして、どんな疑問を持ったかを細かくメモします。
この記録があるからこそ、後から見直しができて、「本当に公正に監査できたかな?」とチェックできるんですよ。
つまり、監査調書は監査の“証拠写真”や“日記”みたいな役割を持っていて、監査の信頼性を支える重要な存在なんです。
普段は公開されないですが、監査の品質を守る大切な影のヒーローと言えるでしょう!