
グラスゴー気候合意とパリ協定って何?
近年、世界中で気候変動に対する取り組みが進んでいます。グラスゴー気候合意とパリ協定は、その中でも特に注目されている国際的な約束ごとです。
パリ協定は2015年に採択され、気温上昇を産業革命前から2度以内、できれば1.5度以内に抑えることを目標にしています。一方、グラスゴー気候合意は2021年に開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約締約国会議)の中で合意されたもので、パリ協定の目標達成に向けて各国の活動を具体的に進めるための更新された約束です。
つまり、グラスゴー気候合意はパリ協定の「強化版」とも言えますが、両者には異なる特徴と役割があります。
パリ協定の特徴と目的
パリ協定は、全ての国が参加して温室効果ガスの排出を減らすことを目指した初めての包括的な国際協定です。
主なポイントは以下の通りです。
- 気温上昇を産業革命前から2度以内に抑えること、理想は1.5度以内
- 各国がそれぞれの削減目標(NDC:国が決める自主的な貢献)を提出すること
- 5年ごとに目標を見直し、引き上げること
- 先進国が途上国に対して資金援助を行うこと
この協定は共通の目標を定めつつも、それぞれの国の事情に合わせた柔軟なアプローチが特徴でした。
グラスゴー気候合意の特徴と役割
2021年のCOP26で合意されたグラスゴー気候合意は、パリ協定の目標達成に向けてより具体的な取り組みを促すものです。
特徴は以下の通りです。
- 2030年までに温室効果ガス排出を大幅に削減すること
- 石炭火力発電の段階的廃止を各国に促す(ただし「段階的撤廃」ではなく「段階的削減」と表現されたことは議論の的となりました)
- 途上国への追加資金援助の確約強化
- 5年ごとの目標提出に関する透明性と強化
この合意は、パリ協定を踏まえた具体的な行動計画と見ることができ、気候変動対策の実効性を高めることを狙っています。
表で比較!グラスゴー気候合意とパリ協定の主な違い
以下の表は、両者の特徴をわかりやすくまとめたものです。
項目 | パリ協定(2015年) | グラスゴー気候合意(2021年) |
---|---|---|
主な目的 | 温室効果ガス排出削減の国際目標設定 | パリ協定の目標達成に向けた具体的行動の強化 |
気温上昇目標 | 産業革命前から2℃以内、可能なら1.5℃以内 | 2℃以内に維持、1.5℃目標の追求継続 |
排出削減目標 | 各国の自主的削減目標(NDC)設定 | 2030年までの大幅削減強化の呼びかけ |
石炭火力 | 特に言及なし | 石炭火力の段階的削減促進 |
資金支援 | 先進国から途上国へ資金援助 | 資金援助の増額と透明性強化 |
目標見直し | 5年ごとの提出と評価 | 提出の透明性・強化重視 |
まとめ:パリ協定とグラスゴー気候合意の違い
まとめると、パリ協定は気候変動対策の大きな枠組みを作った初の国際協定で、気温上昇を抑えるために全世界が協力する約束でした。
一方、グラスゴー気候合意はそのパリ協定の目標を達成するために、より具体的で現実的な行動を世界に求める内容です。特に2030年までの温室効果ガス削減や石炭火力発電の削減を強く促しています。
この2つはセットで理解すると気候変動問題の国際的な動きをよくつかむことができます。
パリ協定の重要なポイントの一つに「NDC(国が自主的に決める貢献目標)」があります。実はこのNDCは、国ごとに削減目標が違うため、強制力はあまりありません。しかし、逆に言えば各国の事情に合わせて柔軟に目標を設定できるので参加しやすいという利点も持っています。だからこそ、最新のグラスゴー気候合意では、このNDCの見直しと強化を強く求めています。つまり、世界中の国が協力しやすく、しかし確実に行動を促すバランスがとられているわけです。こんな仕組みの工夫が、国際的な環境協定の成功を左右しているのですね。
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