
塑性とは何か?
まずは塑性(そせい)について説明します。塑性とは、材料が外から力を加えられたときに元の形に戻らずに変形したまま残る性質のことを指します。たとえば、ねじりや引っ張りの力がかかったときに、材料が柔らかく形を変えることがありますね。このとき形が完全に元に戻らなければ、それが塑性変形です。
一方で、力を加えても形が元通りになる場合は弾性変形といいます。ゴムのように伸ばしても離せば元の形に戻るものですね。
つまり、塑性は「変形が残る変形」のことで、この特徴は金属や粘土、プラスチックなど多くの材料で見られます。
日常生活でも、曲げたり潰したりして形が変わったものは塑性変形したとも言えます。
降伏とは?
次に降伏(こうふく)という言葉の意味を解説します。材料に力を加えていくと、最初は弾性的に変形しますが、ある一定の力を超えると急に形が変わりやすくなる現象が起きます。この力の限界のことを降伏点と呼びます。
降伏点を超えると、材料は plastic(塑性)変形を起こし、元に戻らなくなります。つまり降伏は塑性変形が始まるきっかけになった瞬間のことなんです。
たとえば鉄を引っ張る実験では、弱い力のうちは戻りますが、降伏点に達すると一気に変形が増えます。
この降伏点は材料の強さを示す重要な指標で、設計などでもよく使われます。
塑性と降伏の違いと関係
簡単に言うと、降伏は塑性変形のスタート地点のことです。
塑性は変形の全体的な性質を指し、材料が元に戻らないほど変形する状態をいいます。一方、降伏は「そこから塑性変形が始まりますよ」という材料の限界値や条件を意味します。
この関係をわかりやすくまとめると次のようになります。
用語 | 意味 | 変形の状態 |
---|---|---|
塑性 | 外力で元に戻らない変形が起きる性質 | 変形が残る状態 |
降伏 | 塑性変形が始まる力の限界点(降伏点) | 弾性変形から塑性変形への移行点 |
降伏を超えると材料は塑性変形を始め、形が変わったまま戻りません。
この性質は建築物や車の安全設計など、材料の強度管理にとても大切です。
まとめ
今回は塑性と降伏の違いについて解説しました。
- 塑性は力によって変形が残る材料の性質
- 降伏はその塑性変形が始まるポイント
これらを理解すると、材料の耐久性や安全性を考えるうえで非常に役立ちます。
みなさんも日常のモノづくりや理科の学習で役立ててみてくださいね。
降伏点という言葉はちょっと特殊に聞こえますが、材料テストの場ではとても重要です。
特に鉄などの金属では、降伏点を超えると急に変形が増えるので、これを知らないと部品が壊れやすくなってしまいます。
たとえば、学校の理科の授業でゴムを伸ばすのとは違って、金属はある限界を超えた瞬間に性質がガラッと変わるんです。
この変わる瞬間を見逃さないようにすることが、エンジニアの腕の見せどころだったりしますよ。
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