
はじめに:せん断応力と粘性応力は何が違うの?
物理や工学の分野でよく耳にする「せん断応力」と「粘性応力」という言葉。どちらも材料や流体が変形する時に関わる力ですが、その意味や仕組みは異なります。
このページでは、せん断応力と粘性応力の違いを中学生にも分かりやすく説明します。難しい数式は使わずに、普段の生活に例えながら楽しく理解しましょう!
せん断応力とは何か?
せん断応力(せんだんおうりょく)は、物体の一部分に水平にかかる力のことです。例えば、厚い本を机の上でスライドさせる時、本が受ける力がせん断応力にあたります。
もう少し詳しく言うと、せん断応力は物体の内部で隣り合う層がすべり合うことで起こる力で、物が形を変えようとする時に働きます。
例えば、粘土を手で押しながらねじると粘土の層と層の間にせん断応力が生まれ、それに耐えながら粘土が変形します。
せん断応力のポイント
- 物体の内部で「すべり合う動き」に対して発生
- 形を変える原因となる力
- 単位はパスカル(Pa)など
粘性応力とは何か?
一方、粘性応力(ねんせいおうりょく)は流体が流れる時に抵抗として生まれる力のことです。水や油などの液体が動くと、内部の層同士が摩擦を起こし、それが抵抗となって流れを妨げます。これが粘性応力です。
粘性応力は流れる速度の変化や流体の粘り気(粘度)に関係しています。たとえば、ハチミツや油は水よりも粘度が高いため、動かす時に強い粘性応力が発生します。
粘性応力のポイント
- 流体の内部で速度差に応じて生まれる抵抗力
- 粘度が高いほど大きくなる
- 流れの安定や乱れに関わる重要な力
せん断応力と粘性応力の違いを表で比較
項目 | せん断応力 | 粘性応力 |
---|---|---|
定義 | 物体内部の層がすべり合うときに生じる応力 | 流体の層間の速度差によって生じる摩擦力に基づく応力 |
発生場所 | 固体や流体の内部 | 主に流体の内部での抵抗力 |
関係する性質 | 形の変形を引き起こす力 | 粘度(流体のねばり強さ) |
例 | 粘土をねじる、金属の板を曲げる | 水と油の流れの違い、ハチミツの流れにくさ |
まとめ:どちらも変形や流れに関わるけれど意味が違う!
せん断応力は物体を変形させるために内部にかかる力で、粘性応力は流体が流れるときに生じる抵抗力のこと。つまり、せん断応力はもっと広い意味を持つ力で、粘性応力はその中でも特に流体の性質から生まれる力だと覚えておきましょう。
日常生活の中で、液体の流れや物の変形を観察すると、この2つがどう働いているかをイメージしやすくなります。理科の授業や将来の勉強や仕事にも役立つ知識ですので、ぜひ理解を深めてくださいね。
せん断応力って実は身近なところにもたくさんあるんです。例えば、カルタを手で押さえながら滑らせる時、カードが動くのはせん断応力のせい。層同士が滑る力で、これがなければカードはうまく動きません。みんなも日常で“なんとなく使っている”せん断応力、少し詳しく知ると科学への興味もアップしますよ!
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