
クリープ変形とは何か?
クリープ変形とは、材料に力がかかり続けているときに、長い時間をかけてゆっくりと形が変わっていく現象のことです。例えば、暑い場所で金属やプラスチックをずっと押し続けると、最初はほとんど変形しませんが、時間が経つと少しずつ伸びてしまいます。これがクリープ変形です。
クリープは主に高温状態で問題になります。なぜなら、温度が上がると、材料の分子が動きやすくなり、長時間の力に耐えられなくなるためです。
工場の機械や飛行機の部品、発電所のパイプなど、重要な場所で使われる材料では、このクリープ現象を考えないと事故や故障につながることもあります。そのため、クリープに強い材料を選んだり、設計段階でクリープを考慮したりすることが必要です。
塑性変形とは?クリープ変形との違いをチェック!
塑性変形は、材料に掛かる力がある程度の限界(比例限度)を超えたときに起こります。このとき、材料は元の形に戻らない永久的な変形をし始めます。たとえば、金属の棒を強く曲げると曲がったまま戻らなくなる現象が塑性変形です。
塑性変形は短時間で起こるのが特徴で、力を加えた瞬間に変形が始まり、その後は力を抜いても変形が残ります。クリープ変形が長時間かけてじわじわ変形するのに対して、塑性変形は力が強くかかったときに瞬間的に変形が起きる違いがあります。
また、塑性変形は主に力の大きさに依存し、温度による影響はクリープより少ないのも特徴です。
クリープ変形と塑性変形の違いをまとめた表
項目 | クリープ変形 | 塑性変形 |
---|---|---|
変形の速さ | 長時間をかけてゆっくり変形する | 短時間で一気に変形する |
変形の性質 | ゆっくり進む永久変形 | 力により即座に起こる永久変形 |
主な要因 | 高温+持続的な応力 | 応力が比例限度を超える場合 |
影響を受ける温度 | 高温で顕著 | 温度の影響は少ない |
発生例 | 高温のタービン部品、発電所のパイプなど | 金属の曲げ加工や叩き加工 |
クリープ変形の面白いところは、見た目にはほとんど動いていないように見えても、実は材料の中でじわじわと変形が進んでいることです。例えば、暖かい場所に置かれた椅子の足が、長い年月をかけて少しずつ曲がってしまうこともクリープの一例。こんなにゆっくり変わる現象は普段あまり気にしませんが、実は建物や機械の安全に大きな影響を与えるんですよ。だから、技術者は目に見えなくても時間と戦っているんです。
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