
スループットとタクトタイムの基本と意味
まずは「スループット」と「タクトタイム」の基本的な意味から見ていきましょう。
スループットとは、簡単に言うと、ある時間内にどれだけの製品やサービスが完成(または処理)されるかを示す数量のことです。たとえば、1時間で10個の製品が作られれば、その時のスループットは10になります。
一方、タクトタイムは、お客さんからの注文ペースやニーズに合わせて、生産ラインが1つの商品を作るのに必要な時間のことです。たとえば、お客さんが1時間に20個の商品を欲しい場合、タクトタイムは3分(60分÷20個)になります。つまりタクトタイムは、作業ペースの目安になる時間のことなのです。
スループットとタクトタイムの違いと役割
スループットは生産の結果を数値で表し、どれだけ効率よく製品を作れているかを示します。
たとえば、1時間に10個作れる流れがあっても、実際に動いているラインで作れるのが8個だけなら、そのラインのスループットは8です。
対して、タクトタイムは生産のリズムやペースを決めるための時間の指標です。お客さんの注文に合わせるため、1個作るのに〇分必要という目安となります。
つまり、スループットは生産量を示す数字で、タクトタイムは生産ペースを示す時間です。両者は生産の異なる視点から工場や仕事の流れを見ているのです。
スループットとタクトタイムの具体例と表
たとえばある工場で次の条件を考えてみましょう。
・1時間に100個の商品をお客さんが求めている
・1個作るのに内作業時間が3分ある。
この場合、タクトタイムは「60分÷100個 = 0.6分」となります。つまり1つの商品を0.6分以内で作らなければ追いつかない計算です。ところが実際の作業が3分かかる場合、スループットは「60分÷3分=20個」となり、お客さんのニーズの20%しか満たせない状態です。
このように実際の生産力(スループット)がタクトタイムに合わない場合は、改善や増員が必要になるわけです。用語 意味 計算例 ポイント スループット 単位時間内の生産数 60分 ÷ 作業時間(分) = 生産数 生産量の結果を示す数値 タクトタイム 1個あたりに必要な生産時間 総時間(分) ÷ 注文数 = 作業時間/個 生産の目標ペースを決める時間
まとめ:なぜ違いを知ることが大事?
タクトタイムを知らずに生産していると、必要なスピードを見誤り、納期遅れや過剰在庫につながります。
逆にスループットだけ見ていても、お客さんの要望に合っているかはわかりません。
これら2つを理解し、比較することで、より効率的で無駄のない生産やサービスの提供が可能になります。
生産現場だけでなくシステム開発やサービス業でも使われる考え方なので、ぜひ覚えておきましょう!
『スループット』という言葉、聞くとちょっと難しそうですよね。ですが、実は私たちの日常の中でも使われる考え方なんです。例えば、夏に自動販売機がどれだけ速くジュースを売り切るかもスループットの一例。たくさんの人がどんどん買えばスループットは高くなります。逆に人気がなければスループットは低くなります。仕事だけでなく日常生活の効率やスピードを考える時にも使える便利な考え方ですよ。