
「道徳教育」と「道徳科」の基本的な違いとは?
まず、「道徳教育」と「道徳科」は似ているように見えますが、実は意味や扱われ方が違います。
「道徳教育」は、子どもたちに正しい考え方や人として大切な心を育てるための教育全般をさします。学校だけでなく、家庭や地域社会、さまざまな場面で行われることがあります。道徳的な価値観やルールを身につけることが目的です。
一方で、「道徳科」は学校の授業の教科名で、文部科学省が定めた正式な教科としてカリキュラムに組み込まれています。小学校から高校までのすべての学年で、年間数時間程度時間が指定され、授業の中で特に道徳的な内容を教えたり話し合ったりします。
つまり、道徳教育は広い意味の「教育活動全体」、道徳科は「学校の公式な授業の一つ」と覚えるとわかりやすいです。
道徳教育と道徳科、それぞれの特徴と内容の違い
それぞれの特徴をもう少し詳しく見ていきましょう。
道徳教育の特徴
・学校の授業以外でも行われることが多い
・家族や地域の行事、生活の中で習得する部分も大きい
・形式は問いません。話し合い、体験、慣習の学びなど多様
・人としての「基本の心」や「価値観」をつくることが目標
道徳科の特徴
・文科省の指導要領に基づいた正式な教科
・年間の時間割が決まっており、授業として組み込まれている
・教材や教科書、評価基準がある
・教員が授業計画を作り、話し合い・発表・考察などで取り組む
このように、道徳教育は生活全体に広がるもので、道徳科は授業に限定された体系的な学びと言えます。特徴 道徳教育 道徳科 場所 生活全般(家庭や地域含む) 学校の授業 形態 多様(体験、話し合い、慣習など) 授業、教科書使用 目的 価値観や心を育む 体系的な道徳的学び 評価 通常なし 評価・記録がある場合も
なぜ道徳科が設けられたのか?背景と今後の展望
昔は「道徳の授業」という科目が明確に定まっていませんでした。しかし、社会が多様化し、価値観も変化していく中で、子どもたちがしっかりした道徳観をもつことが重要になってきました。
そこで2003年頃から、文部科学省が「道徳科」の位置づけを明確にして、正式な教科として設定しました。これは、「道徳的価値の涵養」を体系的かつ継続的に行うためです。
また、以前は評価の対象外だった道徳科の考え方や態度を、「特別活動」などと関連付けながら評価する動きもあります。
今後は、学校教育の中での道徳の位置づけがより重要になり、教科としての内容も充実させるために教材の工夫や授業方法の改善が進められると考えられます。地域や家庭と連携した道徳教育も引き続き大切になるでしょう。
このように、子どもたちの日常と学校の学びの両方で道徳の力を育てる時代がますます進んでいきます。
「道徳科」の授業って実はすごく工夫されているんですよ。単に「良いことをしましょう」だけじゃなくて、子どもたちが自分で考えて、意見を出し合う時間が多いんです。みんなでディスカッションしたり、物語を読んで気持ちを考えたり。最近は評価の仕方も変わってきていて、ただ聞いているだけではなく、どれだけ自分で考えられるかも大事になっているんです。だから、教科っぽくなったけど、子どもたちがちゃんと自分の心に向き合えるように工夫されているんですね。
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