
LEED認証とWELL認証とは何か?
建物の環境性能や健康に関する認証制度として、LEED認証とWELL認証があります。これらの認証は、環境に優しい建物づくりや、人々の健康と快適さを追求するために使われています。
LEED認証はアメリカのUSGBC(米国グリーンビルディング協議会)が運営している認証で、環境への配慮全般を評価します。一方、WELL認証はIWBI(国際ウェルビイング建築研究所)が運営し、居住者の健康や快適性に重点を置いています。
両者は似ているようで目的や焦点が異なるため、建築プロジェクトでどちらを選ぶか、あるいは併用するのかは重要な判断になります。
LEED認証の特徴と評価基準
LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)は、エネルギー効率や資源の節約、環境への負担軽減を目的とした認証制度です。
評価する項目は多岐にわたり、エネルギー消費の削減、再生可能エネルギーの利用、水資源の管理、廃棄物の削減、環境にやさしい材料の活用などが含まれます。
具体的には以下のようなカテゴリーで点数をつけ、合計点に応じて認証レベル(Certified、Silver、Gold、Platinum)が決まります。
- 持続可能な敷地選定
- 水の効率性
- エネルギーと大気
- 資材と資源
- 屋内環境の質
- 革新
- 地域優先事項
多くの国や地域で採用されているため、国際的な基準としても認知されています。
WELL認証の特徴と評価基準
一方、WELL認証は建物内で生活する人の健康と快適さを向上させることを目的としています。
評価基準は人間の身体や心に直接関わる要素が中心で、空気の質、照明、温度、音環境、飲料水の質、栄養、フィットネス、精神的な健康サポートなどがあります。
WELLは以下の7つのカテゴリーに分かれて評価されます。
- 空気(Air)
- 水(Water)
- 栄養(Nutrition)
- 光(Light)
- フィットネス(Fitness)
- 快適性(Comfort)
- 精神的健康(Mind)
また、WELL認証は定期的な再認証が求められ、持続的な健康環境の維持を促進しています。
LEEDとWELLの違いを表で比較
それぞれの認証の違いをわかりやすくまとめると以下の通りです。
ポイント | LEED認証 | WELL認証 |
---|---|---|
目的 | 環境負荷の軽減、持続可能な建築 | 建物利用者の健康と快適性の向上 |
運営団体 | USGBC(米国グリーンビルディング協議会) | IWBI(国際ウェルビーイング建築研究所) |
評価項目 | エネルギー効率、水管理、廃棄物削減など環境全般 | 空気、水、光、栄養、精神面など人間の健康面 |
認証レベル | Certified、Silver、Gold、Platinum | 認証取得後も定期更新あり |
対象 | 新築・既存建築物、改修など幅広い | 主に内部環境の快適性を重視 |
メリット | 環境に優しい建物である証明ができる 資産価値向上 | 利用者の健康維持や生産性向上 福利厚生の向上 |
まとめ:LEED認証とWELL認証をどう使い分ける?
LEED認証は環境への配慮全体を評価するため、グリーンビルディングの基本として導入されることが多いです。
これに対してWELL認証は、人がその建物内で長時間過ごすことを考えたときの健康や快適さに焦点をあてているため、特にオフィスや病院、学校など、人が集まる施設での導入が増えています。
両認証は組み合わせて取得することも可能で、環境にも人にも優しい建物づくりのトレンドとなっています。
いずれも建築や不動産業界だけではなく、企業のCSRやSDGs(持続可能な開発目標)推進にも深く関わるため、今後ますます注目されることは間違いありません。
これから建物の認証について考える方は、まずLEEDで環境配慮をおさえつつ、人の健康を重視したい場合はWELLの特徴を理解して組み合わせてみるのが賢い選択と言えるでしょう。
WELL認証の中で特に面白いのが「精神的健康(Mind)」のカテゴリです。単なる建物の空気や設備環境だけでなく、利用者のストレス軽減やリラクゼーション、社交性の促進まで考慮している点がユニークです。たとえば、瞑想スペースの設置や自然光の調整など、建物が人の心の健康を支える役割を持っているんですよ。こうした視点は従来の建築認証にはあまりなかったため、WELL認証が注目される理由の一つです。みなさんが学校や家で感じる“居心地の良さ”も、こうした健康環境の影響が大きいかもしれませんね。