
ヤング率と弾性係数とは?基礎から理解しよう
ヤング率と弾性係数は、物理や材料科学の分野で使われる言葉です。
どちらも物体がどれだけ伸びたり縮んだりするか、つまり「変形のしやすさ」を表す指標ですが、実はヤング率も弾性係数の一種と言えます。
簡単に言うと、ヤング率は特に「引っ張り・圧縮」の変形に強さや硬さを示す弾性係数の一つなのです。
つまり、似ているけれど意味が少し違う言葉で、状況により使い分けられます。
ここではまず、それぞれの基本的な定義を紹介します。
・ヤング率とは?
ヤング率は“縦方向”に力を加えた時に、その物質がどれだけ伸びるか縮むかを表す数値です。
単位は「Pa(パスカル)」で、数値が大きいほど材料が硬くて伸びにくいことを示します。
たとえば鉄のヤング率は約2.0×1011Paほどで、ゴムに比べてずっと硬いことがわかります。
数値を計算するには「応力(かかる力の大きさ)」を「ひずみ(長さの変化の割合)」で割ったものとなります。
・弾性係数とは?
弾性係数は物体が力を受けたとき、元の形に戻ろうとする力の強さを表す数値の総称です。
弾性率や弾性定数とも呼ばれ、種類がいくつかあります。
ヤング率もその中のひとつで、他には「せん断弾性係数(剛性率)」「体積弾性係数」などがあります。
それぞれ違う方向や種類の力に対しての弾性の強さを表しています。
ヤング率と弾性係数の違いを表で比較!
項目 | ヤング率 | 弾性係数 |
---|---|---|
意味 | 物質の縦方向(引っ張り・圧縮)の硬さを表す特殊な弾性係数 | 外力に対して元に戻ろうとする力の強さ全般の指標 |
範囲 | 弾性係数の中の一つ | ヤング率を含む複数の種類がある |
方向 | 縦方向の変形 | 縦・横・せん断などあらゆる方向や種類の変形 |
単位 | Pa(パスカル) | 同じくPa(パスカル) |
用途例 | 材料の強度や硬度計算に使う | 材料の変形特性全般の理解に使う |
まとめ:基礎を押さえて材料の理解を深めよう
ヤング率は弾性係数の1つで、特に物質の引っ張りや圧縮に対する硬さを示しています。
一方、弾性係数とはもっと広い意味で、いろんな変形に対して元の形に戻ろうとする力の強さを表す数値です。
材料や構造の性質を調べるときには、どんな種類の変形を扱うかによって、この2つの言葉を使い分けたり、合わせて使ったりします。
中学生にも理解しやすいように例えるなら、ヤング率は「特に縦に引っ張る硬さ」を示す数字、弾性係数は「物質の全部の変形に関する硬さの総称」というイメージです。
ぜひこの違いを理解して、物理や工学の基礎知識を深めてください。
ヤング率って聞くと難しそうに感じますが、実は身近なものにも応用されているんです。例えばスマホの筐体や橋の構造は、このヤング率を考えて作られています。硬すぎず、適度にしなやかなものが理想で、そのバランスを取るために材料のヤング率を知ることが大切なんです。だから意外にも、日常の“ものづくり”の裏側にはこのヤング率が密かに役立っているんですよ。
前の記事: « 耐力と降伏強度の違いとは?材料の強さをわかりやすく解説!