
フィヨルドとリアス式海岸とは?それぞれの基本特徴
まずは、自然地形としてのフィヨルドとリアス式海岸がどう違うのか、基本的な特徴を押さえていきましょう。
フィヨルドは氷河の浸食によってできた長くて深い入り江です。氷河が山間部の谷を削りながら海まで延びたため、断面がU字形で非常に深いのが特徴です。ノルウェーやニュージーランドなど、寒冷な地域の海岸線に多く存在します。
一方でリアス式海岸は、山の谷が海に沈んでできた入り江のことを指します。谷が比較的細かく入り組むため、入り江と半島が複雑に入り組んだ海岸線になります。日本のリアス式海岸は岩盤が浸食されてできたもので、三陸海岸が有名です。
フィヨルドとリアス式海岸のでき方の違い
もっと詳しく違いを理解するために、それぞれの形成過程を見てみましょう。
フィヨルドは氷河の働きでできるため、長い氷河期に氷が谷を削りとても深くU字形の谷を作ります。氷河が退いたあと、その谷が海に沈むことでできるので、海面よりも深いところまで入り江が続きます。
一方リアス式海岸は河川の谷が沈降した結果できることが多く、谷の形はV字に近いことが多いです。海面の変動や地盤の変動により、山地の谷間が海水で満たされて複雑な入り江になります。
つまり、形の違いは氷河浸食(フィヨルド)か河川浸食(リアス式)かで決まっているのです。
地形の特徴を比較した表
ここでフィヨルドとリアス式海岸の特徴を表で比べてみましょう。
フィヨルドとリアス式海岸の見分け方と実際の例
それぞれの違いを見分けるポイントは大きく分けて3つあります。
1つ目は「谷の形状」です。フィヨルドはU字形でとても深く、リアス式はV字に近く浅いことが多いです。
2つ目は「形成の背景」。フィヨルドは昔氷河があった地域、リアス式は河川谷や地盤変動でできています。
3つ目は「場所」です。フィヨルドは寒冷地、リアス式は温帯の海岸に多いです。
実際にはノルウェーの有名なソグネフィヨルドは、氷河浸食された長く深いU字谷が特徴です。
日本の三陸海岸は典型的なリアス式海岸で、入り組んだリアス式の入り江や小さな岬が多く見られます。
このように、地形の特徴や場所をチェックすれば簡単に違いがわかります。
フィヨルドの魅力はその圧倒的なスケール感です。例えばノルウェーのフィヨルドは長さが数百キロメートルにも及び、その深さは海面下700メートルを超える場所もあります。
氷河が長い時間をかけて岩を削った結果できた自然の芸術作品とも言えますね。
またフィヨルドは断崖絶壁が海に迫っているため、船で航行するとまるで壮大な峡谷の中を進んでいるかのような感覚を味わえます。
これは普通の海岸ではなかなか経験できない、フィヨルドならではの魅力です。
自然好きな人はぜひ現地で体験してみてほしいですね。
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