
包括利益と当期純利益とは?基本の意味をやさしく解説
ビジネスや会計の世界でよく出てくる言葉に「包括利益」と「当期純利益」があります。これらは会社の経営成績や財務状況を見るうえでとても大切な数字ですが、よく似ていて混乱しやすいです。
まず、当期純利益とは、企業が1年間に得た最終的な利益のことです。売上から費用や税金などを差し引いた最終の利益で、会社の経営がうまくいっているかの一つの指標となります。
一方包括利益は、当期純利益に加えて、株主が直接影響を受けるけれども、まだ損益計算書に反映されていない利益や損失(たとえば為替差損益や金融商品評価差額など)も含めた、広い意味での利益の変動を示します。
つまり、包括利益は会社の純利益だけでなく、株主資本の変動もトータルで表すもので、企業の本当の状態をより詳しく知ることができる数字です。
包括利益と当期純利益の違いを理解するポイントとは?詳しく解説
では、包括利益と当期純利益の違いをもう少し詳しく見ていきましょう。
当期純利益は、損益計算書(PL)で報告される数字です。会社が本業や副業(関連記事:在宅で副業!おすすめ3選!【初心者向け】)でどれだけ利益を上げたのか、費用を差し引いて最終的に残った利益です。
しかし、当期純利益だけでは見えない部分があります。たとえば、為替の影響で外貨建ての資産や負債の価値が変わったとき、その損益は「当期純利益」に含まれません。
包括利益は、当期純利益に加え、このような「その他の包括損益」と呼ばれる損益も含めています。つまり、為替差損益や金融商品再評価差額、退職給付の調整額などが入ります。これにより、財務諸表を見たときに、株主資本がどのように変動したかをトータルで把握できるのです。
下の表に包括利益と当期純利益の違いを整理しました。
項目 | 当期純利益 | 包括利益 |
---|---|---|
意味 | 1年間の最終的な利益 | 当期純利益+その他の包括損益の合計 |
報告される場所 | 損益計算書(PL) | 損益計算書+包括利益計算書 |
含まれる損益 | 営業利益+営業外収益・費用-税金など | 当期純利益+未実現損益(例えば為替差損益など) |
目的 | 企業の成果を示す | 企業の株主資本の変動を総合的に示す |
このように包括利益は当期純利益よりも範囲が広く、企業の経営状態をより正確に把握するための指標です。
なぜ包括利益が重要?当期純利益との使い分けや注意点
当期純利益は、利益が出ているか赤字かがすぐわかる基本の数字で、利益配分や配当にも使われる大切な指標です。
しかし、最近の会計基準では、為替変動や金融商品の時価評価などで、純利益に影響しないけれど会社の実態には重要な変動が多くなっています。
そのため包括利益を見ることで、企業の株主資本がどう動いているのかをトータルで理解でき、投資家や経営者がより正しい判断をしやすくなります。
ただし、包括利益には未実現の利益や損失も含まれるため、変動が大きくなることもあります。
そのため、企業分析をする際は
- 当期純利益で本業の成果を見る
- 包括利益で全体の資本変動を確認する
このように数字の意味や使い分けを覚えておくと、決算書やニュースで見聞きする企業の業績を深く理解できるようになります。
「包括利益」という言葉、ちょっと難しく感じますよね。実はこれは会社の利益をもっと広く見たものなんです。例えば、外貨の価値が変わったり、金融商品の価格が変わったとき、その損益はすぐには現金にならず未実現損益と言われます。
こうした未実現の損益も含めて表すのが包括利益。つまり、会社の実際の経済状態をよりリアルに教えてくれる数字と思ってもらうと分かりやすいですよ。株主にとっては、その会社がどれだけ資産価値が増えたり減ったりしたのかが手に取るようにわかる重要な指標なんです。