
はじめに:natm工法とシールド工法とは何か?
地下トンネルや地下構造物を作るときに使われる工法には、いろいろな種類があります。今回はその中でもよく比較されるnatm工法とシールド工法の違いについて、
中学生にもわかる言葉でわかりやすく解説していきます。
両方とも地下を掘るための方法ですが、それぞれ特徴が異なります。どんな場面で使われるのか、どんなメリットやデメリットがあるのかを知ることで、建設業界だけでなく身近な土木や地下構造物への理解も深まるでしょう。
natm工法の特徴と仕組み
まず、natm工法(NATMとは「New Austrian Tunneling Method」の略)について説明します。
これは、地山の自然な力を利用しながら掘り進める工法で、掘った部分の即時の補強を特徴としています。
具体的には掘削した岩や土を「周囲の地盤の力」で支えつつ、コンクリートの吹き付けや鋼の支保工で補強していきます。
この工法の最大のポイントは、掘ったあとにすぐ補強することで、掘削した箇所の崩壊を防ぐことです。また地盤の状況に応じて工法を柔軟に変えられるため、複雑な地形や地質に強いのが特徴です。
一方で、掘削中の地盤変動を注意深く監視しながら進める必要があるため、技術的な経験や管理が大切になります。
シールド工法の特徴と仕組み
次にシールド工法について紹介します。これはトンネルの先端に「シールドマシン」と呼ばれる機械を使い、土を掘削しながら円形のトンネルを掘る方法です。
シールドマシンは土を掘りながら、そのすぐ後ろでトンネルを支えるコンクリートのセグメントを組み立てていきます。これにより土砂崩れの危険を最小限に抑えながら安全に掘削が可能です。
この工法は特に水の多い場所や都市部の地下鉄工事などで多く使われます。掘る部分がすでに覆われているため安全性が高く、機械により作業が比較的早く進みます。しかし、設備や機械が大きくコストがかかるというデメリットもあります。
natm工法とシールド工法の比較表
2つの工法は特徴や使う場面が違うため、以下の表で簡単に比較してみました。
項目 | natm工法 | シールド工法 |
---|---|---|
掘削方法 | 手掘りや小型機械で掘削し地盤を即補強 | シールドマシンによる機械掘削とコンクリート組立 |
適する地盤 | 多様な地盤に対応可能 | 軟弱地盤や水の多い地盤に向く |
安全性 | 技術・経験に依存 | 機械で安全管理がしやすい |
工期 | やや長め | 比較的短い |
コスト | 比較的低い | 高い(機械など設備費用) |
まとめ:どんなときに使い分ける?
最後にまとめると、natm工法は多様な地盤に柔軟に適応できる工法ですが、経験や管理が重要です。
一方シールド工法は機械を使った安全で早い掘削に向き、都市部の地下工事によく使われます。
作るトンネルの場所・地盤の性質、コストや工期の条件などにより、どちらの工法を選ぶかが決まります。
こうした工法の違いを知ることは、将来土木や建設の仕事に関わるときだけでなく、地下構造物の安全や仕組みを理解するのにも役立ちます。
今回の解説が、natm工法とシールド工法についての疑問を解決し、興味を持つきっかけになれば嬉しいです。
natm工法で面白いのは、掘った後にその場で地盤の力を生かして補強していくという点です。実はこの工法、オーストリアで考えられたため“New Austrian”と名付けられました。普通トンネル掘削は掘る前に補強など準備しますが、natm工法は掘りながら地盤の特性を見極め、柔軟に補強を調整するんです。
このため、地盤の強さに応じて補強の量や方法を変えられ、効率よく安全に作業が進みます。しかしその分、経験豊富な技術者の判断が必要で、監視や管理が不可欠です。
地盤の力を“利用”するという発想は自然との共生のようで、土木技術の中でもとても興味深いポイントですよね。
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