
CADデータとは何か?
まずはCADデータについて説明します。CADは「Computer-Aided Design」の略で、コンピューターを使って設計するためのソフトウェアのことを指します。家や車、機械、家具など、様々なモノの設計図をデジタルで作ることができます。
CADデータは、形の情報だけでなく、寸法や素材、部品の繋がり方など詳細な設計情報を保存しています。3Dモデルとして立体的に物を表現でき、設計の自由度が高いのが特徴です。
例えば、設計図を手書きで作るのは大変ですが、CADソフトなら細かな調整も簡単にできます。さらに完成したデータは、そのまま製造機械に送ることも可能です。
STLデータとは何か?
次にSTLデータについて解説します。STLは「STereoLithography」または「Standard Tessellation Language」の略で、主に3Dプリンターで使われるデータ形式です。
STLデータは3Dの形を三角形の面で表現したデータで、CADデータのように物の寸法や素材情報はあまり含まれていません。そのため、3Dプリンタが形を正しく認識して造形できることが重要視されています。
言い換えれば、STLデータは3Dプリンターが使いやすい形に簡略化された設計データだと言えます。
CADデータとSTLデータの主な違い
ここまでの説明をもとに、CADデータとSTLデータの主な違いをまとめましょう。
下記の表をご覧ください。
項目 | CADデータ | STLデータ |
---|---|---|
用途 | 詳細設計や製造指示のための設計データ | 3Dプリンターで造形するための簡略化データ |
情報の内容 | 形状、寸法、素材、部品構成など詳細 | 形状を三角形の面で表現した形状情報のみ |
編集のしやすさ | 変更や改良がしやすい | 編集には専用ソフトが必要で難しい |
ファイルサイズ | 詳細情報の分大きくなる傾向 | 形状だけなので比較的小さい |
使用環境 | 設計者やエンジニア向け | 3Dプリントや造形業務向け |
このように、CADデータは設計や製造のための細かい情報を持ち、STLデータは3Dプリンター向けに特化した形状データです。
まとめ:どちらを使うべきか?
CADデータとSTLデータは、目的によって使い分けることが大切です。
設計の段階ではCADデータを使い、形状や寸法、部品構成などを詳細に検討します。
そして、3Dプリンターで実際にものを作るときはSTLデータを用いて形状を正確に造形します。
また、STLデータはCADの設計データから変換して作成するので、元の設計がしっかりしていなければ良い造形はできません。
つまり、両者はセットで使われるケースが多いですが、使う目的に応じて違う特徴を持っていることを理解しておけば、3Dデータの扱いやすさや成果物の質も上がります。
STLデータは3Dプリンターでの造形に欠かせない形式ですが、実は形状を三角形の小さな面で表現しているんです。この三角形の細かさがプリントの精度に直結するため、設計者はどれだけ細かく三角形を分割するかで見た目の滑らかさを調整しています。細かくすればキレイですがデータが重くなるのでバランスが重要ですね。
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