
減損損失とは何か?
まずは減損損失について見ていきましょう。減損損失とは、企業がもっている資産の価値が大きく下がってしまったときに、その損失を会計上であらわすためのものです。たとえば工場の機械や建物、土地や特許など、会社の持ち物である資産が、本来より使えなくなったり価値が減ったときに「これだと帳簿の値段より価値がかなり下がっているから損失出しましたよ」と報告する仕組みです。
減損損失は会社の財産を正しく評価し、無駄な価値を帳簿にのせないようにするためのルールで、この損失を計上することで、実際の経済状況に合った正確な財務情報が提供されます。
たとえば、10年前に1億円で買った工場の設備が、今は壊れかかっていて使い物にならない状態なら、減損損失を計上して価値を下げます。これにより、会社の収益や財産状況が実態に近くなるのです。
評価損とは何か?
次に評価損について説明します。評価損とは、主に「売ったり換えたりする」ことを前提とした資産の価値が下がったときに認められる損失です。特に、市場価格が下がってしまった商品や有価証券、商品在庫などでよく使われます。
つまり評価損は「まだ使っているわけではないけど、もし売るなら価値が下がったから損だよね」という意味合いです。たとえば、お店で売るために持っている商品が古くなって売れにくくなったときや、株や債券などの金融商品が価格の下落により価値が減ったときに、その損失分を計上します。
この評価損をつけることで、実際に売った場合の損失を事前に会計に反映させ、より正確な財務状況を示します。
評価損は通常、長期間持っている資産の価値変動に合わせて見直しが行われ、企業の資産価値を最新の状態に保つ役割があります。
減損損失と評価損の違いを比べてみよう
項目 | 減損損失 | 評価損 |
---|---|---|
対象となる資産 | 固定資産(工場・建物・設備・特許など長期資産) | 流動資産(在庫・有価証券などすぐ売るもの) |
目的 | 価値の大幅な下落を反映し、資産の帳簿価値を適正にする | 市場価格の下落を反映し、資産の評価を現実に合わせる |
発生タイミング | 予想される回収価値が著しく下がったとき | 時価が帳簿価値より低下したとき |
会計処理の特徴 | 損失として大きく計上し、元に戻しにくい | 価格変動に応じて見直し可能(戻し入れがある場合も) |
これらの違いをよく理解することで、企業の財務報告や会計処理の意味がわかりやすくなり、ニュースなどで聞く「減損損失が発生した」や「評価損が計上された」という言葉の理解が深まります。
経理や会計に詳しくなくても、日常生活の中で「価値が減った」という感覚は誰にでもあるので、減損損失はその価値の大きな下落、評価損は売買に関わる価値の下落と覚えておくとわかりやすいでしょう。
まとめ
減損損失は会社の長期間使う資産の大きな価値ダウンを表し、評価損は短期間で売る資産の価値下落を表します。会計上のルールとしては両方とも損失として扱いますが、その扱いや対象資産、目的が異なります。
これらの違いを理解しておけば、企業の財務報告やニュースがより分かりやすくなりますし、将来もし経理や会計に関わる仕事をする際にも役立つ知識となるでしょう。
以上、「減損損失」と「評価損」の違いについて、中学生でもわかるように解説しました。ぜひ覚えてみてくださいね!
「減損損失」という言葉は一見むずかしそうですが、実は「急に使い物にならなくなった価値の大きな損」がイメージしやすいです。たとえば大きな工場が地震で壊れたときに、資産価値が大幅に下がると減損損失になります。でも、壊れてなくても使い方が変わって価値が下がることもあるんです。会計ではそうした価値の‘変化’を正しく報告することが大事なんだな、と思いますね。これがなかったら、価値のないものまで高く計上されてしまい、会社の正しい姿が見えなくなってしまいます。意外と身近なルールなんですよ。
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