
短期譲渡所得と長期譲渡所得の基本的な違いとは?
私たちが土地や建物などの資産を売ると、その売ったことで得たお金から、もともとその資産を買ったときの費用を引いたものが「譲渡所得」と呼ばれます。譲渡所得には大きく分けて短期譲渡所得と長期譲渡所得があります。この2つは、その資産をどれくらいの期間持っていたかによって分類されます。
具体的には、売却した年の1月1日時点で、その資産を所有していた期間が5年以下なら「短期譲渡所得」、5年を超えていれば「長期譲渡所得」となります。
例えば、2019年7月に土地を購入し、2023年8月に売った場合、2023年1月1日時点での所有期間は3年半なので「短期譲渡所得」になります。一方、2015年5月に購入した土地であれば、2023年1月1日時点で7年と長いため、「長期譲渡所得」とされます。
重要なポイントは所有期間の計算が『売却した年の1月1日時点』で判定されることです。この基準日までの期間が5年を超えるかどうかで、税率や控除の扱いが変わるので注意しましょう。
短期譲渡所得と長期譲渡所得で税率が違う理由とその影響
短期譲渡所得と長期譲渡所得の違いで最も大きいのは「税率」です。
国は不動産などの保有期間が長い人に対して税の優遇を設けています。短期間で利益を得る投機的な取引よりも、長期間経済活動を安定的に支える場合に優遇したいという考えからです。
具体的な税率は以下の表でご説明します。
譲渡所得の種類 | 所有期間 | 税率(所得税+住民税) |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 約39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 約20.315% |
このように長期譲渡所得の方が税率が約半分近く低いため、節税メリットが大きいと言えます。
また、制度的に用意されている控除や特例も長期譲渡所得にはより多く適用される場合が多く、投資や資産売却を考える人にとっては重要なポイントになります。
譲渡所得の計算や申告ではこの税率の違いを正しく理解して、適切な情報をもとに行うことが大切です。
譲渡所得の計算例と注意点、よくある間違い
例を挙げて説明します。
・土地を2018年に1000万円で購入
・2024年に1500万円で売却
この場合、2024年1月1日時点で所有期間は約6年と長いため「長期譲渡所得」が適用されます。
譲渡所得の金額は、売却価格から購入価格などの費用や経費を差し引きますが、今回は単純化し1500万円-1000万円=500万円とします。
この500万円に対し、約20.315%の税率がかかります。よって、納める税金は約101.5万円となります。
ここで注意したいのは「所有期間の誤解」です。購入日から売却日までの期間と、所有期間の判定基準の違いです。また、譲渡所得の中にはさらに特例や控除が適用できるケースもあります。
税金申告の際は専門の税理士に相談することも検討しましょう。間違った申告は追徴課税などのリスクにつながるため、慎重に対応することが望ましいです。
短期譲渡所得と長期譲渡所得の判定では、所有期間の計算が「売却した年の1月1日時点」で行われる点が意外と知られていません。例えば、2018年6月に購入した資産を2023年5月に売っても、2023年1月1日時点での所有期間は4年半なので短期譲渡所得になります。この細かい日付による違いで、税率が大きく変わるので、売却の計画を立てる時にぜひ覚えておきたいポイントですね。