
倒産防止共済と小規模企業共済とは?
中小企業や小規模事業者が経営を安定させるために活用できる制度として、倒産防止共済と小規模企業共済があります。どちらも名前が似ているため混同されやすいですが、それぞれ目的や仕組みが異なります。
倒産防止共済は、主に取引先の倒産によって資金繰りが悪化した場合に助けになる制度で、正式には「経営セーフティ共済」とも呼ばれます。一方、小規模企業共済は事業主自身の退職金や老後資金のために積み立てる制度です。
この記事では、この2つの共済の違いを詳しくわかりやすくご紹介し、中小企業の経営者や小規模事業者が自分に合った制度を選ぶためのポイントをお伝えします。
倒産防止共済の特徴と仕組み
倒産防止共済(経営セーフティ共済)は「取引先が倒産した」という突然の資金ショックに備えるための制度です。
この共済に加入していると、取引先の倒産で売掛金が回収できなくなった際に、一定の範囲で無担保・無保証人で共済金を借りることができます。借入限度額は最大8,000万円までで、資金繰りの急場を乗り切ることが目的です。
掛金は月々1万円から20万円まで自由に設定でき、掛け金の全額が損金(経費)として認められるため節税効果もあります。ただし、中途解約すると掛金の7割程度しか戻らないケースがありますので、長期的に使うことを前提とした制度です。
また、掛金の支払い期間と借入期間は制限されており、加入期間が長いほど借入可能額が増えます。
この制度は主に売掛債権の回収リスクを減らし、経営の継続を助ける仕組みとなっています。
小規模企業共済の特徴と仕組み
小規模企業共済は、事業主自身や家族従業者の将来の退職金・年金の役割を担う積み立て制度です。
加入対象は個人事業主や小規模の会社経営者で、月額1,000円から7万円までの掛金を自由に設定し積み立てられます。掛金は全額所得控除の対象となるため、節税効果が大きいのも特徴です。
積立金は掛け捨てではなく、退職や廃業の際に一時金または分割金として受け取ることができます。これにより独立開業時や急な廃業時の資金準備や老後資金の形成に役立ちます。
また、貸付制度もあり、急な資金ニーズにも対応可能です。
この共済は、経営リスクよりも経営者の将来の生活安定や資金準備を目的とした制度です。
倒産防止共済と小規模企業共済の主な違い
ここまで説明した2つの制度の違いをわかりやすくまとめると次の通りです。
項目 | 倒産防止共済 | 小規模企業共済 |
---|---|---|
目的 | 取引先倒産による資金繰り悪化の防止 | 事業主の退職金や老後資金の積み立て |
加入対象 | 中小企業や小規模事業者 | 主に小規模事業者等の個人事業主や会社役員 |
掛金 | 1万円~20万円/月 | 1,000円~7万円/月 |
税制上のメリット | 全額損金算入可能(節税効果) | 全額所得控除可能(節税効果) |
受取方法 | 倒産時に貸付金として借入 | 退職や廃業時に一時金または分割で受取 |
主な用途 | 緊急の資金繰り支援 | 退職金・老後資金準備 |
このように、倒産防止共済は企業の資金繰りを安定させる助けになり、小規模企業共済は経営者個人の生活の備えになる制度と言えます。
まとめ:どちらを選ぶべき?
両方の制度とも節税効果があり、経営を支える大切な制度ですが、用途によって選ぶべきものが違います。
もし、主要取引先の倒産リスクが心配なら倒産防止共済が適しています。いざというときに無担保の借入が可能で資金繰りを助けてくれます。
一方で、将来の退職金や老後の生活資金を計画的に準備したいなら小規模企業共済を活用した積立がオススメです。
多くの中小企業では両方に加入して、それぞれの目的に合わせて運用しているケースも多いので、自分の経営状況や目標を踏まえてうまく活用しましょう。
これらの制度をうまく取り入れることで、経営の安定と将来の安心を両立させることができます。
実は、倒産防止共済では取引先が倒産したときに貸付金は無担保・無保証人で借りられることが大きなポイントです。
中小企業経営者にとっては、資金繰りの急場をしのぐために銀行からすぐに借りるのは難しいことが多いですが、この共済制度を使うと保証人なしで借入できるのでとても心強い存在です。
また、掛金は損金算入できるので節税効果もあります。
ただし、掛け捨てではないものの途中解約は戻りが減るため長期的な加入がおすすめです。
経営者目線で考えると、取引先倒産リスクに備えて"安全ネット"のように利用するイメージを持つとわかりやすいですよ!