
減価償却引当金と減価償却累計額とは?その基本を理解しよう
まずはじめに、減価償却引当金と減価償却累計額という言葉の意味をしっかり理解していきましょう。減価償却は、会社などが長く使う建物や機械などの資産の価値が時間とともに減っていくことを会計上で表す方法です。
減価償却引当金は、資産の価値が減ることによって生じる費用をあらかじめ準備するための勘定科目です。一方、減価償却累計額は、今までにその資産に対して積み重ねてきた減価償却費の合計金額を意味します。どちらも資産管理や費用計算に関係していますが、使い方や意味が違うのでしっかり区別しましょう。
これから具体的な違いをわかりやすく説明していきますので、減価償却の基礎を身につけたい方はぜひ読み進めてください。
減価償却引当金と減価償却累計額の具体的な違いと特徴
減価償却引当金は、減価償却費用の支払いのために準備するための勘定科目です。要は、将来的に使う費用を見越してお金を引き当てておくというイメージです。企業が資産を購入した時に、将来の価値の減少分を見積もり、その費用を計上していきます。引当金という言葉は「備え」という意味で、まだ実際に費用を支払っていなくてもその分を確保しておくというニュアンスがあります。
一方、減価償却累計額は、資産の減価償却費がどのぐらい累積したかを示しています。たとえば、機械設備を毎年10万円ずつ減価償却すると、その年数が経つごとに減価償却累計額は増えていきます。これは減価償却費を積み上げて資産の帳簿価格を減らすのに使われます。現実にどれくらい費用化されたかの合計として扱うのが特徴です。
表にまとめると以下の通りです。
項目 | 減価償却引当金 | 減価償却累計額 |
---|---|---|
意味 | 将来の減価償却費用のための準備金 | 今までに計上した減価償却費の合計 |
性質 | 引当金勘定(費用の準備) | 資産に対する減価償却費の累積 |
会計処理 | 将来の費用負担を見越して計上 | 実際に費用として計上済み |
資産の帳簿価額への影響 | 間接的に関係 | 直接減算して資産価値を示す |
このように、使う場面や意味が異なることがポイントです。
また、日本の会計基準ではよく減価償却累計額が使われることが多く、減価償却引当金は馴染みが薄い用語かもしれません。
違いをしっかり理解して、会計処理や経理の仕組みを整理しましょう。
なぜ減価償却引当金はあまり使われない?会計上の実例と注意点
実際の会計処理では減価償却累計額が主に用いられ、あまり減価償却引当金は使われません。その理由は、日本の商法や会計基準では資産の購買と同時に減価償却費用を計上し、減価償却累計額で資産の価値を減らしていくやり方が一般的だからです。
減価償却引当金の概念は、将来に向けて費用を引き当てておく考え方としては勘定科目の一つですが、実務では費用を実際に計上しながら減価償却累計額を更新する仕組みが主流です。
また、減価償却引当金は、引当金勘定という性質上、将来の損失や費用への対策として計上することに使われるため、減価償却のケースではイメージしにくいところがあります。経理担当者や会計学習者としては、言葉の意味や性質を理解しつつ、会計基準でどれが主流かを把握し、混同しないことが大切です。
まとめると、減価償却引当金は費用準備のコンセプトであって、実際の減価償却処理にはあまり使われなく、減価償却累計額の方が頻繁に見かける用語と考えてよいでしょう。
今後も会計用語は似ている言葉が多いので、一つずつ丁寧に意味を理解していくことが大切ですね。
減価償却累計額について少し掘り下げてみましょう。資産を買った時、最初はその資産の価値そのままですが、経年とともにその価値が減っていきます。この減価した分を毎年会計で費用として計上していくのが減価償却です。そして、その毎年計上した費用の合計が減価償却累計額となり、資産の帳簿価格から差し引かれます。面白いのは、これは実際の現金の動きと関係なく、あくまで会計上の価値の調整だということ。つまり、減価償却累計額が増えても、現金は減らないんです。これは会社の見た目の財産価値を正しく伝えるための会計の魔法のような仕組みなんですよ。
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