
スループットとは何か?その基本をわかりやすく解説
まずはスループットについて説明します。スループットとは、システムやネットワークが単位時間あたりに処理できる仕事の量やデータの量を指します。たとえば、1秒間にどれだけのリクエスト(操作やデータ処理など)を処理できるか、というイメージです。
スループットが高いと、多くの作業を短時間でさばけるため、システム全体の効率が良いと言えます。逆に、スループットが低いとシステムが処理しきれず、待ち時間や遅延が発生しやすくなります。
身近な例で考えると、レジの列があるスーパーで「1分間に何人のお客さんを処理できるか」もスループットに似ています。レジの数やスタッフの手際が良ければスループットは高く、多くの人をさばけるわけです。
ITの世界では、ネットワークのスループットは「データ転送速度」と結びつきやすく、通信が速いほど多くのデータを短時間で処理できるということになります。つまり、スループットは大量の仕事を処理できる能力の指標と考えることができます。
こうしたことから、システムの効率を評価したいときにスループットの数値を見ることが重要となります。
レスポンスタイムとは?スループットとの違いを理解しよう
次にレスポンスタイムについて説明します。レスポンスタイムとは、ユーザーが何か操作をした際にシステムが反応を返すまでにかかる時間のことです。たとえば、ウェブページをクリックしてから画面が表示されるまでの時間や、ボタンを押して処理が始まり終わるまでの待ち時間を指します。
レスポンスタイムはユーザーの体感速度に直接影響するため、とても重要な指標です。レスポンスタイムが短いと操作がスムーズに感じられ、満足度も高くなりますが、長いと不快感やストレスが生じやすくなります。
たとえば、スマホのゲームでボタンを押してからすぐに反応がある場合、レスポンスタイムが短いと言えます。逆に反応が遅いとゲームの楽しさも半減しますね。
レスポンスタイムは単一の処理やリクエストにかかる時間なので、少ないデータを速く処理できるかがポイントです。つまり、スループットがシステム全体の処理能力を示すのに対し、レスポンスタイムは「一つ一つの処理の速さ」を測っているという違いがあります。
スループットとレスポンスタイムの違いを表で比較
項目 | スループット | レスポンスタイム |
---|---|---|
意味 | 単位時間あたりの処理量 | 1つの処理にかかる時間 |
単位 | 処理数/秒、Mbpsなど | 秒、ミリ秒 |
重要視する場面 | 大量の処理やデータを高速に処理したい時 | ユーザーの操作に対して速い応答が必要な時 |
例 | 1秒間に1000件のリクエストを処理 | クリックしてから画面が切り替わるまで0.2秒 |
まとめ〜スループットとレスポンスタイムを上手に使い分けよう
ここまでで、スループットとレスポンスタイムの違いがはっきり分かったと思います。
両者はシステムの性能を評価する大切な指標ですが、何を重視するかで好ましい状態は変わってきます。
例えば、大量のデータを処理しなければならないサーバー環境ではスループットの向上が求められますし、ユーザーが操作をするアプリケーションではレスポンスタイムの短縮が重要になります。
また、スループットを上げようとしても、レスポンスタイムが遅くなる(応答に時間がかかる)こともあるため、バランス良く性能をチューニングするのがポイントです。
システムを理解したり改善したりしたい場合は、この2つの指標をしっかり把握して、どちらに注目するべきかを考えることが成功への近道になります。
スループットという言葉、実は日常生活にも置き換えられるんです。例えば、通学路の信号機をイメージしてみてください。スループットは、その信号が1分間に何台の車や人を通すことができるかという能力。信号タイミングが上手く調整されていると、たくさんの人がスムーズに進めますよね。でも、信号が長く赤のままだったらスループットは落ちてしまいます。だから、ITの世界でもスループットは、どれだけ効率よく処理できるかを示す大事な数字。見方を変えれば、身近な場所でも「処理能力の良さ」を観察できるんですよ。