
マルコフモデルと隠れマルコフモデルとは?基本から理解しよう
まずは、マルコフモデルと隠れマルコフモデル(HMM)の基本的な違いについて説明します。
マルコフモデルとは、現在の状態が直前の状態だけに依存しているというルールに基づくモデルです。この性質を マルコフ性 と呼びます。例えば、天気のモデルを考えたとき、「昨日が晴れだったら、今日も晴れかもしれない」というように、今の状態は前の状態だけで決まります。
一方、隠れマルコフモデルはこの考え方をさらに進めたもので、実際に観測できる状態(観測状態)と、その背後にある見えない状態(隠れ状態)があります。隠れ状態は直接観測できず、そこから観測状態が生まれると考えます。例えば、話し声の認識では、言葉(隠れ状態)はわからなくても、音声の波形(観測状態)だけは観測できます。この隠れ状態の推定が重要なポイントです。
要するに、マルコフモデルは状態が直接見えるけれど、隠れマルコフモデルは状態が見えず、代わりに何か別の観測データがあるモデルと覚えておきましょう。
マルコフモデルと隠れマルコフモデルの違いを分かりやすく比較!表で理解
ここでは、マルコフモデルと隠れマルコフモデルの違いをわかりやすく比較してみます。
ポイント | マルコフモデル | 隠れマルコフモデル |
---|---|---|
状態の見え方 | すべての状態が直接観測可能 | 状態は隠れており、観測できない |
観測データ | 状態そのものが観測データ | 状態に基づく観測データが観測される |
応用例 | シンプルな天気予報モデルなど | 音声認識・遺伝子解析など複雑な応用 |
モデルの複雑さ | 比較的単純 | 状態推定や確率計算が複雑 |
この表を見れば、マルコフモデルは状態が見える単純モデルであるのに対し、隠れマルコフモデルは状態が隠れていて観測データから推測する複雑なモデルだと理解できます。
この違いがいろいろな分野で使い分けられているポイントです。
どうして隠れマルコフモデルが必要?メリットや活用例を紹介
では、なぜ隠れマルコフモデルが必要なのでしょうか?
世の中には直接見えないけど推測したい状態がたくさんあります。例えば、音声認識では話している言葉そのものは聞こえず、声という波形が観測されます。
隠れマルコフモデルを使うことで、観測されたデータから見えない状態を推定でき、たとえば「この音がこの言葉に対応する」と判断できるわけです。
また、DNA配列の解析や手書き文字認識、機械翻訳などにも利用されている有力なモデルです。
メリット
- 隠れた状態を推測できるので、より複雑な問題に対応可能
- 確率的な処理ができるため、ノイズがあっても対応しやすい
- 応用範囲が広い(音声認識、自然言語処理、バイオ情報学など)
このように隠れマルコフモデルは、単純な状態の遷移だけでなく、状態が見えにくい実際の問題解決に役立つモデルです。
マルコフモデルの『状態』って、一見ただの点のように思えますが、実はこれがモデルの基礎なんです。状態の移り変わりだけで未来を予測するという考え方は、とてもシンプル。でもそれが実は日常生活の中にもたくさんあります。例えば、学校の天気予報や、ゲームでの敵の動き予想など。意識してみると、マルコフモデルの考え方に触れているかもしれませんよ!
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