
APIPAとは何か?
まずはAPIPA(Automatic Private IP Addressing)について説明します。APIPAは、Windowsをはじめとする一部のOSで使われる自動的にIPアドレスを割り当てる仕組みです。
通常、ネットワークに接続したときにIPアドレスはDHCPサーバーから取得しますが、DHCPサーバーが見つからない場合には、コンピューター自身が自動でIPアドレス(169.254.x.xという特定の範囲)を設定し、その状態でローカルネットワーク内での通信が可能になります。
これを使うとルーターやサーバーがなくても、パソコン同士を直接つなげて少しだけ通信できるようになります。ただし、インターネットには繋がりません。
つまりAPIPAはDHCPの代わりに自動でIPアドレスを設定する非常手段的な仕組みなのです。
DHCPとは何か?
次にDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)について理解しましょう。DHCPはネットワーク内の機器にIPアドレスやサブネットマスク、ゲートウェイ情報などの設定を自動的に配布する役割を持つプロトコルです。
例えば、みなさんが家でパソコンやスマホをWi-Fiに繋ぐとき、ルーターにDHCPサーバー機能があり、そのルーターが自動でIPアドレスを割り当てています。
DHCPを使うことで、ユーザーは難しいネットワーク設定をしなくても機器を簡単にネットに繋げることができます。
つまり、DHCPはIPアドレス割り当ての基本システムであり、大半のネットワーク環境で利用されています。
APIPAとDHCPの違いとは?
それではAPIPAとDHCPの主な違いをまとめてみましょう。
1.IPアドレスの割り当て元:DHCPはネットワーク上の専用サーバーやルーターが割り当てるのに対し、APIPAはコンピューター自身が自動で割り当てます。
2.利用範囲:DHCPはローカルネットワーク全体やインターネットに適したIPアドレスを割り当てますが、APIPAのアドレスはループバックではなくローカルネットワーク内だけです。
3.役割の違い:DHCPは正常なIPアドレス管理を行う仕組み、APIPAはDHCPが使えない時の代替手段です。
以下の表に詳しく比較します。
項目 | DHCP | APIPA |
---|---|---|
割り当て方法 | サーバーが自動配布 | 自動的に端末自身が割り当て |
IPアドレス範囲 | ネットワークに応じて自由に設定可能 | 169.254.0.1〜169.254.255.254の範囲 |
利用用途 | ネット全体(インターネット含む)への接続 | ローカルネットワーク内通信のみ |
発動条件 | 通常時 | DHCPサーバーが見つからない時 |
設定の簡単さ | 自動で簡単に設定可能 | 簡単だが制限が多い |
まとめ
APIPAとDHCPはどちらもIPアドレスを割り当てる仕組みですが、DHCPは正規のIPアドレス管理システムであり、通常はこちらが使われます。
一方でAPIPAはDHCPが使えないときに備えた予備的な機能であり、ネットワークの異常がわかりやすくなるメリットもあります。
もしもネットが繋がらないときにIPアドレスが169.254.x.xのようになっていたらAPIPAが動いているサインです。
そんな時はDHCPサーバーの設定やルーター、ケーブルの状態を確認してみましょう。
ネットワーク用語の理解には階段のように一つひとつ覚えていくことが大切。ぜひ今回のAPIPAとDHCPの違いを参考にしてくださいね!
DHCPとAPIPAの話をすると、ネットワークが自動でIPアドレスを配る様子が見えてなんだか面白いです。特にAPIPAは『困ったときの自分で割り当て』という救済措置で、IPアドレスの世界の“もしもボックス”みたいな感じ。これによりパソコンは最低限ローカル通信だけでもできるので、急にネットが切れても、隣の機械とは話せることがあり、意外と便利なんですよね。普段は意識しないこの仕組みですが、小さな助け舟としての役割を持っている所がかっこいいんです。