
固定資産除却損と減損損失の基本的な違いとは?
企業の経理や会計処理では、固定資産にかかわる損失が発生することがあります。固定資産除却損と減損損失は、その中でも特に重要な科目です。両者は似たような言葉ですが、その意味や使われるタイミングには大きな違いがあります。
まず、固定資産除却損とは、機械や建物などの固定資産を廃棄하거나取り壊した際に発生する損失のことです。つまり、固定資産を物理的に除却(取り壊す・処分する)した結果、帳簿上の価値と実際の処分価値との差額などが損失として計上されます。
一方、減損損失は、企業が保有している固定資産の価値が減少し、その回収が難しいと判断された場合に、その価値の下落分を損失として計上するものです。これは資産がまだ存在していても、経済的価値が実際の帳簿価額よりも下がっている場合に適用されます。
簡単に言うと、固定資産除却損は「ものを壊したときに出る損失」
減損損失は「資産の価値が下がってしまった時の損失」と覚えるとよいでしょう。
どういった状況で固定資産除却損は発生するのか?
固定資産除却損が発生するのは、主に固定資産を取り壊すか、売却する際に簿価(帳簿価値)が回収できない場合です。
例えば、古くなって使えなくなった工場の機械を解体して廃棄するとき、もしくは土地や建物を売却したときに、帳簿価額と実際の売却価額が大きく違っていたら、その差額を除却損として計算します。
この損失は、固定資産が完全になくなることが前提なので、廃棄や取り壊しをしたタイミングで発生します。
また、税法上も6ヶ月以上使わなかったり、売却用に長期間放置した資産は、除却損を計上する必要がでてきたりします。
つまり固定資産除却損は物理的な除去や売却行為が基準の損失であると言えます。
減損損失はどんな場合に計上するのか?
減損損失は、固定資産の将来キャッシュフロー(お金を生み出す力)が減った場合、その資産価値が下がっていることを会計上示すために計上されます。
例えば、地震などの災害で建物が大きく損害を受けた時、技術の進歩や市場の環境変化で設備の価値が大幅に減少した時などが該当します。
減損損失は固定資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減らす処理です。つまり固定資産はまだ存在していますが、価値は落ちている状態です。
この処理は年に一度など継続的に行われる場合もあり、企業の財務状況の健全性を示すために重要となります。
まとめると、減損損失は資産の価値減少を合理的に反映するための会計処理であり、資産が存在しているけれど価値が低下したときに使われます。
固定資産除却損と減損損失の違いをまとめた表
まとめ
固定資産除却損と減損損失はどちらも企業の資産価値に関わる損失ですが、その意味や処理のタイミングは異なります。
固定資産除却損は資産の廃棄や売却によって発生し、資産自体がなくなることが前提です。それに対して、減損損失は資産がまだ残っているものの、その価値が下がったことを反映する会計処理です。
これらを正しく理解し使い分けることは、企業の経営状態を正確に伝えるために非常に重要です。
会計や経理に興味がある人は、事例を見ながら実際の処理の流れを覚えていくとわかりやすくなりますよ。
「減損損失」という言葉、ちょっと難しく感じますよね。でも、例えば大きな家電を買ったときのことを思い出してみましょう。新品のテレビは高い価値がありますが、古くなって壊れたり性能が落ちたりすると、売っても買ったときほどの価値がありません。これがまさに減損損失の考え方なんです。企業の資産も同じで、たとえまだ手元にあっても、市場の変化や損傷で価値が下がれば、その差額を損失として計上します。だから減損損失は物を壊さなくても起こるんですよ。意外と気づきにくいけれど、すごく大事な会計のルールなんです!
前の記事: « 減価償却費と減損損失の違いとは?中学生にもわかる簡単解説!