
POMRとSOAPの基本的な違いについて
医療現場で患者の診療記録をつけるときに使われる方法として、POMR(Problem-Oriented Medical Record)とSOAP(Subjective, Objective, Assessment, Plan)があります。どちらも患者情報を整理しやすくするための方法ですが、それぞれ特徴が違います。
POMRは問題指向型医療記録とも呼ばれ、患者の問題を中心に記録を整理します。患者の全ての問題をリストアップし、各問題ごとに記録や対応を書き込んでいきます。一方で、SOAPは診察時の情報を「主観的データ(Subjective)」「客観的データ(Objective)」「評価(Assessment)」「計画(Plan)」の4つに分けて記録する方法です。
このように、POMRは患者の「問題」に焦点を当てた方法、SOAPは診療の流れに沿った情報整理の方法と言えます。
どちらも患者の診療をスムーズにし、情報の共有をしやすくするために重要な記録方法です。
POMRの特徴とメリット
POMRは1960年代に作られた記録方法で、患者の問題ごとに記録をまとめるのが特徴です。例えば、「頭痛」「発熱」といった具体的な症状や疾病を問題としてリスト化します。その問題ごとに経過や治療、対応を記録していきます。
この方法の大きなメリットは、患者の全体像を把握しやすく、複数の問題が同時にある場合でも見分けやすい点です。医師や看護師など複数のスタッフが関わる場合に、どの問題が現在どうなっているのかを共有しやすいので、チーム医療に適しています。
また、時間とともに問題が増えたり消えたりしてもそれを追跡しやすいので、長期的な管理に向いています。ただし、すべての問題をリストアップして管理するため、記録が複雑になりやすいという側面もあります。
SOAPの特徴とメリット
SOAPはPOMRの中で使われる記録形式の一つといえます。SOAPは4つの部分から成り立っていて、まず患者や家族が話す「主観的情報(Subjective)」を記録します。例えば「頭が痛い」「熱がある」など、患者の感じたことです。次に医療者が観察や検査で得た「客観的情報(Objective)」を記録します。体温や血圧の数値、検査結果などがここにあたります。
次にこれらの情報を元にした「評価(Assessment)」を書き込みます。医師の診断や考えた問題点などです。最後に治療計画や経過観察の方針となる「計画(Plan)」を書きます。
SOAPの良いところは診療の流れに沿って情報を整理できるため、どの段階で何がわかっているのかが一目でわかることです。特に初診や緊急の場面で効率よく情報を整理できます。ただし、POMRのように問題ごとのトラッキングには向かない場合があります。
POMRとSOAPの比較表
まとめ:状況に応じて使い分けよう
POMRとSOAPはどちらも医療現場で重要な記録方法ですが、その使い方や目的は違います。
患者の問題をしっかり管理して長期的に見る必要がある場合はPOMRが適しています。一方、診察の流れに沿ってスムーズに記録をつけたい時や、緊急初診の場面ではSOAPが便利です。
現場の医療スタッフは状況に応じてこれらを使い分けることで、より良い診療と患者ケアを実現しています。
医療記録は患者の命や健康を守る大切なものなので、どちらの方法もよく理解して使うことが求められています。
SOAPという記録方法の中で面白いのは、最初のS、つまり「主観的情報」です。これは患者さん本人や家族が話す症状や気になることを指すのですが、医療者は患者の感じ方を尊重して記録します。例えば、痛みの強さや場所は患者によって感じ方が違うので、数字や検査ではわからない"本人の声"を大切にするのが特徴です。これがあるからこそ、単なる数値だけでなく患者に寄り添った診療ができるんですね。だから、ただの記録方法ではなく、患者の気持ちを尊重した医療の心が込められていると言えるでしょう。
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