
NPV(正味現在価値)とは何か?
まずはNPV(Net Present Value)について説明します。
NPVとは、将来得られるお金(キャッシュフロー)を現在の価値に直して計算した数字のことです。たとえば、今すぐ1000円もらうのと1年後に1000円もらうのでは、同じ1000円でも価値が違いますよね?これは、時間が経つとそのお金を使って別のことに投資できる可能性があるからです。この考え方を「割引」と言います。
NPVは、将来のキャッシュフローを割引率で割り引いて現在価値にして、それを全部足し合わせたものから、初期投資額を引いた結果になります。
簡単に言うと、NPVがプラスなら投資しても利益が出る見込みがあるということです。逆にマイナスなら損になる可能性が高いと判断されます。
これにより企業や投資家は、どのプロジェクトに資金を投入すれば良いのか判断できるのです。
NPVは将来の不確実なキャッシュフローを現在価値で表現するため、経営上の意思決定でとても大切な指標となります。
企業価値とは何か?
一方で、企業価値とは企業全体の価値のことを指します。たとえばある会社がいくらの価値を持っているかをお金で表したものです。これは株式市場の時価総額や負債などを含んだ総合的な評価で、事業全体の資産や将来の収益力を見込んで算出されます。
企業価値の計算方法は色々ありますが、よく使われるのがフリーキャッシュフローを割引いて計算するDCF法
企業価値は投資家がその会社に投資をする際に参考にする数値で、企業の実力や将来性を示します。
また、企業価値は会社の買収や合併の際にも重要で、適正な価格を決めるための基準となります。
NPVと企業価値の違いを分かりやすく整理
ここまで説明したように、NPVと企業価値は似ている面もありますが、目的や使い方が違います。
主な違いを表にまとめました。
項目 | NPV | 企業価値 |
---|---|---|
意味 | 投資プロジェクトの正味現在価値(利益の見込み) | 会社全体の価値(会社の総資産価値) |
計算対象 | 単一プロジェクトや投資案件 | 会社全体の将来キャッシュフロー |
目的 | 投資案件の採否判断 | 会社の価値評価、投資判断 |
計算方法 | 将来収益を割引して初期投資を差引く | 自由キャッシュフローを割引いて総合評価 |
たとえば、新しい工場を建設するか決めるときはNPVを使います。
工場の建設費と将来の利益を計算して、NPVがプラスなら「建てて大丈夫」と判断します。
一方、会社全体がどれくらいの価値があるのか知りたいときは企業価値を調べます。
これにより、株式の適正価格や会社の成長見込みを把握できます。
つまり、NPVは「この投資は儲かるか?」というための指標、企業価値は「会社は全体としてどれぐらいの価値?」というための指標です。
両者は密接に関係しますが、角度の違う視点で経済価値を評価していると考えましょう。
まとめ:NPVと企業価値の違いをおさえて経済活動を理解しよう
今回はNPVと企業価値の違いについて解説しました。
・NPVは将来の利益を現在価値にして、その投資案件が得かどうか判断する
・企業価値は会社全体の価値を示し、投資家や経営者が企業の実力を評価するために使う
これらの概念は難しく感じますが、実は現在のお金の価値を正しく評価しながら、賢くお金を使うためのものです。
中学生でもイメージしやすいように言うなら、NPVは“この買い物が得かどうか”、企業価値は“そのお店全体の価値”と考えればわかりやすいです。
経済やビジネスに興味を持ったら、この2つの考え方を覚えて、将来の投資や会社の価値について考えてみましょう!
NPVを計算する時に使う“割引率”は、実はとても重要なポイントです。この割引率は、リスクやお金の価値の変化を表していて、適切に設定しないと正確なNPVが出ません。たとえばリスクが高い事業なら割引率も高くなり、その結果NPVが低くなる可能性があります。だから、割引率選びは経営者のセンスも問われる大事な部分なんですよ!
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