

中嶋悟
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体外受精と胚移植の基本を押さえる
体外受精とは、卵子と精子の受精を体の外で行う治療の総称です。これには卵巣を刺激して複数の卵子を採取する段階、採取した卵子と精子を実験室で受精させて胚を育てる段階、そして育った胚を子宮に戻す胚移植の段階が含まれます。
胚移植はその「胚を子宮へ移す作業」を指し、新鮮な胚をそのまま移植する場合と、凍結保存した胚を後日移植する場合の二通りがあります。
この二つの言葉は別物のようでいて、実際には同じ治療の流れの中で順番に起こることが多いのが特徴です。
IVF治療は、まず卵巣刺激で複数の卵子を採取し、採取した卵子と精子を体外で受精させ、培養して胚を作ります。
次に、胚を子宮に移すことが胚移植です。
治療のゴールは、この胚を着床させて妊娠に至ることですが、体の状態や年齢、胚の質などにより結果は変わります。
この段階では、どの胚を移植するか、いつ移植するか、凍結胚をどう活用するかといった判断が重要になります。
この記事では、用語の違いを整理し、実際の流れをイメージしやすく解説します。
体外受精と胚移植の違いを具体的に見る
まず大前提として、体外受精(IVF)は「治療の大枠」を指します。卵巣刺激、卵子の採取、受精、胚の培養、そして胚移植という複数の工程から成り立っています。
一方で胚移植は「胚を子宮へ戻す行為そのもの」を指すステップです。つまり、IVFという大きな治療の中の、ある一連の局面を切り出した言葉が胚移植になります。
この違いを踏まえると、二つの言葉は同じ治療の別々の局面を表す、補完的な意味を持つものだと分かります。
新鮮胚移植はそのまま採取した胚を同じ周期に戻す方法、凍結胚移植(FET)は別の周期に凍結保存しておいた胚を戻す方法です。どちらを選ぶかは個人の体調、年齢、胚の質、医師の判断により異なります。
項目 | 体外受精(IVF) | 胚移植 |
---|---|---|
目的 | 卵子と精子の受精を作成・培養・胚の成長 | 培養後の胚を子宮へ移す |
工程の位置づけ | 治療全体の最初から終盤までを包含 | 胚の移植という分岐点の作業 |
時期の例 | 卵子採取後の培養期間を含む | 新鮮胚移植は採取後の同周期、凍結胚移植は別の周期 |
実際の流れとよくある誤解
治療の流れは人によって異なりますが、基本的な流れは似ています。
1) 卵巣刺激で複数の卵子を育て、採取します。
2) 採取した卵子と精子を体外で受精させ、胚を培養します。
3) 胚を子宮へ移す胚移植を行います。
4) 移植後は妊娠判定を行います。
この過程で重要なのは、胚の質と妊娠のタイミング、そして体調管理です。
よくある誤解として、「IVF=必ず妊娠に至る」「胚移植は必ず新鮮胚で行われる」といった考えがありますが、実際には個々のケースで凍結胚移植が選ばれることも多く、妊娠率は年齢や健康状態、胚の状態に左右されます。
友人とカフェで話していたときのことです。彼が『体外受精と胚移植の違いって、結局どう違うの?』と聞いてきました。私はまず、体外受精を「卵子と精子を試験管で結びつけて成長させる大きな計画」と捉え、胚移植を「その計画の完成の一歩、育った胚を子宮へ運ぶ作業」と説明しました。会話の中で、凍結胚移植があること、同じ治療でも時期がずれること、個人差が大きいことを伝えました。こうして話を深掘りすると、治療は単語だけでなくタイミングと選択肢の組み合わせだと分かります。