
定率法と定額法の違いとは?基本をわかりやすく解説
定率法と定額法は、企業などが固定資産の価値を少しずつ費用として計上する減価償却の方法の一つです。
まず簡単に言うと、定額法は毎年同じ金額を費用にする方法で、定率法は最初に多く、徐々に少なくなる金額を費用にする方法です。
たとえばパソコンなどを買った場合、その価値は時間がたつにつれて減っていきます。パソコンが新品のときは価値が高いですが、古くなると価値は下がるため、この価値の減り方をどう計算するかで、定率法と定額法が使い分けられます。
定額法だと毎年一定額を費用として計上するので、経費の計算が簡単なのが特徴です。
一方、定率法は最初のうちに大きな費用を計上し、だんだん費用が小さくなるので、新しいものを買ったばかりの時期に損益を調整しやすくなります。
減価償却は、会社の利益を正しく表すためにとても大切なので、この二つの方法の違いを正しく理解して使い分けることが必要です。
定額法と定率法の計算方法を詳しく紹介
ここでは、定額法と定率法の計算方法について詳しく説明します。
定額法はとてもシンプルです。購入価格から残存価額(使い終わったあとに売れる価値など)を引いた額を、耐用年数(使える年数)で割ったものが毎年の減価償却費になります。
〈計算式〉
減価償却費 = (取得価額 - 残存価額) ÷ 耐用年数
たとえば100万円の機械を買って、10年使い終わったあとに価値が10万円残るとすると、(1,000,000円-100,000円)/10年=90,000円が毎年の費用です。
定率法は、残った価値の一定割合を毎年費用にします。
初めは高い費用が計上され、年数が経つにつれて減っていきます。
〈計算式〉
減価償却費 = 帳簿価額(前年度の価値)× 償却率
償却率は耐用年数に基づいて国が決めており、例えば耐用年数5年の場合、償却率は0.4(40%)くらいです。
これにより、初年度は100万円×0.4=40万円の費用となり、次年度は60万円×0.4=24万円とだんだん費用が減っていきます。
こうして費用計上のパターンが異なるため、会社の利益や納税額にも影響を与えます。
定額法と定率法のメリット・デメリット比較表
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
定額法 | ・計算が簡単 ・毎年同じ額で安定している ・予算管理しやすい | ・資産の価値減少に合わない場合もある ・初期の費用が少なく利益が高く見えることも |
定率法 | ・新しい資産の初期費用が多く計上でき、利益調整しやすい ・価値の減少に近い計上ができる | ・計算が少し複雑 ・後年の費用が小さくなるため、利益が大きく見える可能性あり |
まとめ:目的に合わせて使い分けよう
定額法と定率法はどちらも資産の価値が減るのを費用として表す方法ですが、特徴が大きく違います。
毎年一定の経費でシンプルにしたいなら定額法
最初にたくさん費用を出して利益を調整したいなら定率法がおすすめです。
会社の経営状況や節税の考え方、資産の種類によって使い分けることが大切です。
この違いを知っておくと、資産の管理や決算の理解に役立ちますよ。
減価償却の内容は難しく感じがちですが、まずはこの2つの方法の違いをしっかり覚えておきましょう。
定率法の償却率
前の記事: « 減耗償却と生産高比例法の違いとは?簡単にわかる会計用語の解説