
はじめに
企業の価値を調べる方法としてよく使われる代表的な手法に、DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)とマルチプル法があります。
これらはビジネスや金融の世界で使われる専門的な言葉ですが、中学生でも理解できるように、なぜ違うのかをわかりやすく解説します。
DCF法とは何か?その基本的な考え方
DCF法は、企業が将来稼ぐであろうお金の現在の価値を計算する方法です。
たとえば将来1年後に100円もらえるとき、今の100円とは価値が違います。
これはお金は時間が経つと価値が変わるためです。
DCF法では、「将来もらえるお金」を全部予想し、それを今の価値に直して足し算します。これを割引現在価値と言います。
企業の価値は、その企業が将来生むお金の合計値で決まると考えるのです。
具体的には
- 将来の利益やキャッシュフローを予想する
- 割引率という数字で現在価値に直す
- それを全部足して企業価値を計算する
という流れで計算されます。
時間や将来のことを重視するため、長い期間の価値がわかるのが特徴です。
マルチプル法とは何か?簡単な価値の見積もり方法
マルチプル法は別のやり方で、似た会社と比べて価値を決める方法です。
ここで使う「マルチプル」とは「倍率」の意味で、何倍かけるかで価値を見ます。
たとえば、似たような会社の株が利益の10倍の値段で売られていたら、これを基に「自分の会社も利益の10倍くらいの価値かな?」と計算します。
利益だけでなく、売上高や純資産なども基準になりやすいです。
マルチプル法の手順は
- 比較対象となる会社のマルチプル(倍率)を調べる
- 自社の利益や売上にそのマルチプルをかける
- おおよその企業価値を計算する
簡単でスピーディーに価値を見積もれますが、将来の見通しを深く反映できないことが多いです。
DCF法とマルチプル法の違いを表にまとめてみよう
ポイント | DCF法 | マルチプル法 |
---|---|---|
評価の基準 | 将来のキャッシュフロー(お金の流れ) | 他社の株価倍率(利益や売上の何倍) |
計算の難しさ | やや複雑で詳細な予測が必要 | 比較的簡単でスピーディー |
将来の影響 | 将来の見通しを重視する | 過去や現在のデータ中心で将来はあまり考慮しない |
用途 | 長期的な企業価値評価に向く | 相場感や短期間の大まかな評価に向く |
使いやすさ | 専門知識が必要 | 初心者でも使いやすい |
まとめ
今回の解説でわかったように、DCF法は未来に稼ぐお金を細かく予想して価値を計算する方法で、
対してマルチプル法は似た会社の値段の倍率から簡単に価値を見積もる方法です。
どちらが優れているかは目的や状況によって変わりますが、
より深く将来を考えたいならDCF法、素早く相場で価値をつかみたいならマルチプル法が便利と覚えておきましょう。
ビジネスや金融の世界では両方を上手に使い分けるのがポイントです。
ぜひこの記事を参考にして、企業の価値評価に挑戦してみてくださいね!
DCF法で使われる「割引率」というのはちょっと面白い考え方です。これは「将来のお金は今の同じお金より価値が低い」と考えて、その価値の差を数字で表しています。
例えば、100円が来年もらえるより、今日の100円の方が価値が高い理由は、すぐに使えるからだけでなく、貯金すれば利息が増えるからです。
この割引率をどう決めるかがDCF法の肝で、会社のリスクや経済の状態によって変わります。
だから、同じ会社でも割引率次第で価値が変わってしまうのがDCF法の面白いところなんですよ!