
トロリーバスと路面電車の基本的な違いとは?
まずはトロリーバスと路面電車の基本的な特徴を理解しましょう。両者とも電気で動く公共交通機関ですが、走り方や車両の仕組みに大きな違いがあります。
トロリーバスは道路の上を走るバスの一種で、電線から集電する電気で動きます。タイヤを使って道路を走り、電線には2本の架線が必要です。このため一般的なバスと違って排気ガスを出しませんが、電源からの電線が道路上空に張られています。
一方の路面電車は鉄のレールの上を電車のように走ります。線路の上を走るため、タイヤの代わりに車輪があり、パンタグラフやトロリーポールで上の架線から電気を集めて走ります。
このように、トロリーバスは『バス型の車両が道路上を走り電気を使う』のに対し、路面電車は『線路上を走る電車の一種』と言えます。
違いをまとめると
特徴 | トロリーバス | 路面電車 |
---|---|---|
走行路 | 普通の道路(タイヤ走行) | 鉄道線路の上(車輪走行) |
電気供給 | 架線2本から供給 | 架線1本+レールで戻る |
車体 | バス型車両 | 電車型車両 |
歴史と国内での普及状況の違い
トロリーバスと路面電車には歴史や日本での普及状況にも違いがあります。
路面電車は明治時代から日本各地で広まりました。特に都市の中心街や通勤路線で活躍し、多くの地域で現在も市民の足として利用されています。全国にはまだ数十路線が残り、地元の人々にはなくてはならない存在です。
一方トロリーバスは日本では非常に珍しい存在で、過去に数路線がありましたが、ほぼ全て廃止されています。理由はトロリーバスは電線が複雑なため道路の美観やメンテナンスが難しいこと、そしてバッテリー技術の発展で電気バスに置き換えられていったからです。
日本では特に路面電車の方が一般的に知られ活用されていると言えるでしょう。一方海外、とくにヨーロッパではトロリーバスもまだ現役の場所が多く存在します。
こうした歴史や使われ方の違いは、両者の実用面の違いにもつながっています。
動作のしくみや利用面での違い
動き方のしくみもトロリーバスと路面電車ではかなり違います。
まずトロリーバスは道路の車線を走るため、普通のバスと同じように他の車両と交通ルールを共有します。そのため信号や渋滞の影響を受けやすい特徴があります。
一方路面電車はレールの上を走っているので、基本的に他の車に邪魔されません。信号も路面電車専用のものが用意されていて、スムーズな交通運行ができるのが特徴です。
操作面では、トロリーバスはバス同様にハンドルで操作しますが、路面電車は車輪はレールに固定されているのでハンドル操作はなく、速度調整とブレーキで走行します。
また、トロリーバスは2本の架線を使って電気を送るため走行軌道から多少離れても問題ありませんが、路面電車は架線が1本でレールが帰路となるため車両がレールから外れると運転不能になります。
利用面でのポイント
- トロリーバス:道路を走るのでルート変更や臨機応変な運行が可能
- 路面電車:専用線路のため安定した走行と多くの乗客輸送に適している
トロリーバスの最大の特徴は『2本の架線が必要』ということです。これは電気をスムーズに集め、安定した動力を得るために欠かせない仕組みなんです。実は電気は‘戻り道’がないと回路が完成しないため、普通の電車と違ってトロリーバスはプラスとマイナスの両方の線から電気をもらっています。
この2本棒の姿は見た目でトロリーバスを見分けるポイントでもあります。一方路面電車はレールが‘戻り道’になっているので架線は1本です。小さな違いですが電気の流れの仕組みを知ると交通機関の構造の奥深さを感じられますよ。
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