
ACTと認知行動療法の基本的な違いとは?
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)と認知行動療法(CBT)は、どちらも心の問題を解決するための心理療法として広く使われています。
しかし、アプローチの方法や目指すゴールには違いがあります。
認知行動療法は、「考え方を変えること」で気持ちを楽にすることを目指します。困った気持ちや考え方のパターンを認識し、それをより良い方向へ変える訓練をします。一方、ACTは「嫌な気持ちや考えを無理に変えようとせずに受け入れた上で、自分が大切にしていることに沿った行動を目指す」方法です。
このように、CBTは考え方を変えることに重点を置き、ACTはそのままの自分や感情を受け入れた上で行動を大切にする点が大きな違いです。
ACTの特徴と具体的な方法
ACTは「受容(アクセプタンス)」と「コミットメント(行動)」を中心にした心理療法です。
まず、嫌な考えや感情を避けたり、押し込めたりせずにその存在を認めて受け入れます。これは感情があってもそれに振り回されるのではなく、感情を認めた上で距離を置くことを狙っています。
次に、自分が本当に大切にしていること(価値観)を明確にし、それに沿った小さな行動を少しずつ続けていきます。これを「コミットメント」と呼びます。
こうした練習を通じて、嫌な気持ちがあっても自分の人生を豊かにする行動を選べるようになるのがACTの特徴です。
認知行動療法(CBT)の特徴と具体的な方法
認知行動療法は、『考え方(認知)と行動の関係に注目し、悪い考え方をポジティブなものに変えていくことが特徴です。
例えば「自分は失敗ばかりだ」というネガティブな思い込みに気づき、その考え方が本当に正しいかどうかを検証したり、別の考え方を試したりします。
また、嫌な感情を感じた時にとる行動も注目し、望ましい行動を練習します。
このように、考え方と行動の両方を変えることで、心の状態を良くしていくことを目指します。
ACTと認知行動療法の比較表
まとめ
ACTと認知行動療法(CBT)は、どちらも心の健康を支えるために使われる心理療法ですが、その考え方や方法には大きな違いがあります。
ACTは感情を無理に変えず受け入れつつ、自分の価値に沿った行動を重視します。
認知行動療法は、ネガティブな考え方や行動をポジティブに変えていく方法です。
それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選ぶことが心の健康を保つために大切です。
ACTで特に面白いのは、『いやな感情を変えようとしない』考え方です。普通の考え方だと、『嫌な気持ちは消したい』と思いがちですが、ACTはむしろそれをそのまま認めてしまいます。感情を無理に変えようとせず、距離をとることで、感情に振り回されずに自分の大切な価値観に従った行動ができる点がユニークです。これは心の柔軟性を高める新しいアプローチと言えます。
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