
実体波と表面波とは?
地震を感じたとき、揺れの種類が異なることに気づいたことはありませんか?
実は地震波には、大きく分けて「実体波」と「表面波」の二種類があります。
この二つの波は、地球の中や表面を伝わる振動のことで、それぞれ違った特徴を持っています。
まずは、この二つの波がどう違うのか、基本から見ていきましょう。
実体波は地震の震源から地下の岩石を通って伝わる波です。
一方、表面波は地表付近で伝わる波で、通常は実体波より遅れて到達しますが、揺れが大きいことが多いです。
これらの違いを理解することで、地震の揺れ方の違いやなぜ建物が倒れる場合があるのかも理解できます。
ここからは、それぞれの波について詳しく解説していきます。
実体波の特徴と種類
実体波は、震源から地下を通って地球内部を伝わる波のことです。
この波はさらに大きく2つの種類に分けられます。
- P波(縦波):圧縮と膨張を繰り返し、物体の進行方向に沿って揺れます。速度が速く、最初に地震計に記録されます。
- S波(横波):上下や左右に揺れる波で、P波より遅れて到達します。岩石を切るような動きをするため、破壊力が強いです。
実体波は地球の内部を通るため、速度が速く短時間で広い範囲に伝わるのが特徴です。
通常、地震の初期微動(小さな揺れ)はP波で感じ、その後にS波が来て本格的な揺れが始まります。
震源からの距離や岩石の性質によって速度や到達時間が変化しますが、この実体波を分析することで地震の震源地や規模を特定できるのです。
表面波の特徴と影響
表面波は、主に地球の表面近くを伝わる波です。
この波の速度は実体波より遅いですが、地表にあるため揺れが強く長く続きやすい傾向があります。
表面波には主に二つの種類があります。
- 愛震波(レイリー波):波が伝わる方向に対して楕円を描くように地面を上下・前後に動かします。
- 横波(ラブ波):地面を左右に揺らす波で、特に建物に強い揺れを引き起こします。
表面波は震源から遠く離れた場所でも影響が大きく、地震の被害の主な原因とされています。
建物の倒壊や地割れは、この表面波の揺れが原因なことが多いのです。
また、表面波は地震波動の最後に到達するので、揺れが続く時間も長く感じられます。
実体波と表面波の違いまとめ【表で比較】
項目 | 実体波 | 表面波 |
---|---|---|
伝わる場所 | 地球内部(地下の岩石を伝わる) | 地球表面付近 |
種類 | P波(縦波)、S波(横波) | レイリー波、ラブ波 |
速度 | 速い(P波が最速) | 遅い |
揺れの特徴 | 初期微動、小さな揺れから激しい揺れへと段階的に変化 | 揺れが大きく、長時間続く |
影響 | 地震の発生を知らせる重要な波 | 建物の被害や地形の変化を引き起こす主因 |
これらをまとめると、実体波は震源から地下を通って速く伝わる波で、主に地震の始まりを示します。
一方、表面波は地表で強く揺れて被害が大きくなりがちです。
地震をより深く理解し、災害から身を守るためには、これら二つの波の違いを知ることがとても大切です。
ピックアップ解説
実体波のうち、P波は地震の最初に届く波ですが、このP波の速さは秒速約6キロメートルに達します。
この速さは時速に換算すると約2万2千キロメートルにもなり、新幹線の速度(約300キロメートル毎時)をはるかに超えています。
だから地震が起きてから揺れを感じるまでに少し時間があるのですね。
この時間差を利用して、地震の初期警報システムが作られているのです。
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