
SD-WANとは何か?
SD-WANとは「Software-Defined Wide Area Network」の略で、ソフトウェアで管理する広域ネットワークの仕組みです。
例えば、企業の支店や拠点がいくつもあり、それぞれの場所をインターネットや専用線でつなぐ場合、効率よく通信を管理したり、コストを抑えたりすることが求められます。
ここでSD-WANを使うと、ネットワークの状態や使い方をソフトウェアで集中管理でき、どの回線を使うか自動で切り替えたり、通信の品質を保つことができます。
つまり、SD-WANはネットワークの通信を効率化・最適化する技術と言えます。
かんたんに言うと、会社のいろいろな場所をつなぐ道路の混雑具合を見て、一番早くて安全な道を選んで通るようにするイメージです。
ゼロトラストとは何か?
ゼロトラストは「Zero Trust」、つまり「信頼しない」という考え方のセキュリティモデルです。
昔のネットワークは社内にいる人や機器は安全だと考え、社外は危険だと分ける「境界防御」が主流でした。
しかし今は、リモートワークやクラウドサービスの普及で、社内外の区別があいまいになり、従来の考え方では守りきれなくなっています。
そこで、ゼロトラストは「どこからのアクセスでも最初から信頼せずに、必ず本人確認(認証)をし、アクセスできる範囲も最小限にする」ことを重視します。
この考え方を実現するため、ID管理や多要素認証、通信の暗号化、アクセス許可の細かいルール設定などを活用します。
つまり、ゼロトラストは誰が何にアクセスするかを厳しく管理し、情報の安全を守る仕組みです。
SD-WANとゼロトラストの違い
SD-WANとゼロトラストは両方ともネットワーク分野の技術ですが、目的や役割が大きく異なります。
SD-WANはネットワーク接続の効率化と柔軟性向上が目的で、複数の回線をうまく使うことや通信の品質を守ることに重点を置きます。
一方、ゼロトラストはセキュリティが最優先で、アクセス経路やユーザーの安全確認を厳密に行い、情報漏えいや不正アクセスを防ぎます。
具体的には、SD-WANは道路や回線の選び方を工夫する道路管理のイメージ、ゼロトラストは「すべてのドライバーはIDチェックを受けて、通行できる道も限定されている」というセキュリティのルールづくりのイメージです。
このように、SD-WANは通信のインフラ面での技術、ゼロトラストはアクセス管理や認証のためのセキュリティモデルとして区別できます。
SD-WANとゼロトラストの関係性
SD-WANとゼロトラストは違う技術ですが、組み合わせて使うことでより安全で効率的なネットワーク運用が可能になります。
例えば、SD-WANで拠点間をつなぐ通信を効率化しつつ、ゼロトラストの仕組みでアクセス権限や認証を厳しく管理すれば、コスト削減だけでなく情報の安全も守れます。
また、昨今のクラウド利用増加やリモートワーク普及により、拠点やユーザーがどこにいてもセキュリティを確保しながら柔軟に使えるネットワーク構築が求められています。
このため、企業はSD-WANでインフラを整え、ゼロトラストでセキュリティを強化するという二段構えの対応を進めています。
まとめ:表でわかるSD-WANとゼロトラストの違い
項目 | SD-WAN | ゼロトラスト |
---|---|---|
目的 | ネットワーク接続の効率化と柔軟性 | アクセスの厳格な管理とセキュリティ強化 |
主な機能 | 回線の自動選択・負荷分散、通信品質の管理 | 認証、多要素認証、アクセス制御、暗号化 |
適用範囲 | 広域ネットワーク(拠点間通信) | ユーザー・デバイスのアクセス全般 |
役割 | ネットワークインフラの最適化 | ネットワークセキュリティの強化 |
このように、SD-WANとゼロトラストは目的や役割が異なるが、どちらも現代のネットワーク運用に欠かせない重要な技術です。
これからのIT環境では両方を理解し、適切に組み合わせて活用することがますます重要になるでしょう。
ゼロトラストというと難しく聞こえますが、実は日常生活にも似た考えがあります。たとえば、知らない人が家に来たら玄関で必ず本人確認しますよね。ポストの中身を勝手に見せないように鍵をかけるのも一種のゼロトラストの考え方です。
つまり、ゼロトラストはネットワークの中にいる人やパソコンも最初から信頼せず、アクセスするたびに本人確認やルールのチェックをするイメージです。普段から友達以外には自分の秘密を見せないのと同じですね。
この考え方が広まったのは、リモートワークやクラウド利用の増加で誰でもどこからでも社内情報にアクセスする時代になったからです。家や学校から安心して仕事ができるようにするための仕組みと言えるでしょう。
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