
DFDとシーケンス図の基本的な違いとは?
ソフトウェア開発やシステム設計の場面で、よく登場するDFD(データフローダイアグラム)とシーケンス図。どちらもシステムの動きを表す図ですが、その目的や表し方はまったく異なります。
まず、DFDはシステムの中でデータがどのように流れているかを示す図です。データの流れと処理を中心に描き、システムの情報の流れを視覚的に理解しやすくしています。
一方、シーケンス図はオブジェクトや部品が時間の経過に沿ってどのようにメッセージをやり取りするかを示しています。つまり、時間軸にしたがった動作の流れを表現する図です。
このように、DFDは「データの流れ」に焦点をあて、シーケンス図は「オブジェクト間のやりとり」を時間軸で整理する点が大きな違いです。
では両者の特徴を詳しく見ていきましょう。
DFDの特徴と使い方
DFDはデータフロー図の略で、主にシステム内の情報がどのように流れているかを示します。
DFDは以下の4つの要素で構成されています。
- プロセス(処理):システム内でデータを加工する部分
- データストア:データを蓄積する場所
- 外部エンティティ:システムの外部にある人やシステムなどの関係者や要素
- データフロー:データの流れを矢印で表す
この図は、システム全体のデータの流れを俯瞰的に理解したい時に役立ちます。特に要件定義やシステム分析の段階で、どのような処理があり、どのデータが交換されているかを整理するのに使われます。
DFDは見やすくシンプルに作られており、技術に詳しくない人にも説明しやすい点が特徴です。
シーケンス図の特徴と使い方
シーケンス図はUMLという設計言語の一つで、オブジェクトや部品が時間の流れにそってどのようにやりとりをするかを表現します。
主な要素は以下の通りです。
- オブジェクト:動作する主体を表す
- ライフライン:オブジェクトの存在時間を示す縦線
- メッセージ:オブジェクト間で送受信される動作や呼び出しを示す矢印
シーケンス図は、主にプログラムの細かい動作を設計するときに使われ、処理がどのように進むかをイメージしやすくします。
例えば、ユーザーがログインボタンを押してから認証サーバーが応答するまでの流れを詳しく描くことができます。
時間軸に沿って描くため、処理の順番や関係が明確になるのが大きなメリットです。
DFDとシーケンス図の違いをまとめた表
ここまでの内容をわかりやすく表にまとめました。
項目 | DFD | シーケンス図 |
---|---|---|
目的 | システム内のデータの流れを表す | オブジェクト間のメッセージのやりとり(動作の順序)を表す |
視点 | データの流れと処理 | 動作や処理の時間的な順番 |
表現要素 | プロセス、データストア、外部エンティティ、データフロー | オブジェクト、ライフライン、メッセージ |
用途 | システム分析、要件定義 | プログラム設計、動作理解 |
視覚的特徴 | 全体のデータフローを俯瞰的に把握できる シンプルでわかりやすい | 時間軸で動作を追える 細かい処理の順番がわかる |