
建築設計と意匠設計の基本的な違いとは?
建築設計と意匠設計は、どちらも建物を作る際にとても大切な工程ですが、役割や目的に明確な違いがあります。
簡単に言うと、建築設計は建物の機能や構造を考えること、意匠設計は建物の見た目やデザイン面を考えることです。
この2つの違いを知らないと、建物づくりにおいて何をしているのかわかりにくくなってしまいます。
ここでは中学生でもわかるように、両者の違いをわかりやすく整理して説明します。
まず建築設計とは、建物が安全で快適に使えるように計画する仕事です。床の配置や壁の厚さ、耐震性などの構造面、さらには給排水設備や電気設備も含まれます。
そのため建築設計では技術的な知識や法律の知識が欠かせません。
一方で意匠設計は、建物の外観や内装の美しさ、どう見えるかを中心に考えます。色合いや形、素材の選択、窓のデザインなど、見た目のデザイン性を重視します。
このように両者は目的と関わる内容が違うため、どちらも建物づくりにおいて欠かせない役割なのです。
建築設計の主な役割と具体例
建築設計は、建物の安全と機能を守るために計画を立てる仕事です。
これには以下のような具体的な仕事が含まれます。
- 建物の構造設計(地震や風に耐える構造を考える)
- 法令チェック(建築基準法などのルールを守る)
- 設備計画(電気、給排水空調などの配管や配線の設計)
- 利用目的に合わせたスペース設計(部屋の配置や通路の計画)
例えば学校の校舎なら、耐震性が高くて避難経路も考えられており、子どもが安全に使える構造をつくります。
また病院の建設なら、感染防止のために清潔な空間や動線の設計も必要です。
つまり、建築設計は建物が安心して使えるための“体の中身”を作る仕事といえます。
意匠設計の主な役割と具体例
意匠設計は建物の「かたち」や「美しさ」を創り出すデザインの部分を担当します。
そのために考えることは、
- 外観のデザイン(形状や色、素材の選び方)
- 内装デザイン(壁紙や床、家具の配置や色彩)
- 建物が周囲の風景に調和するか
- 使用感や空間の心地よさ
例えば同じ住宅でも、意匠設計でモダンな感じにしたり、和風で伝統的なイメージに仕上げたりすることができます。
商業施設ではブランドイメージに合わせて内装を設計したり、人の目を引く外観を作ったりもします。
このように意匠設計は、単なる形だけではなく、人の心や感性に訴えるデザインを追求するのが仕事です。
建築設計と意匠設計の違いがよく分かる比較表
項目 | 建築設計 | 意匠設計 |
---|---|---|
目的 | 安全性・機能性を確保すること | 見た目の美しさ・デザイン性を高めること |
内容 | 構造設計、法令遵守、設備計画、室内の機能配置 | 建物の外観、内装の形状・色彩・素材選び |
求められる知識 | 建築技術、構造力学、法規制、設備設計 | デザイン理論、色彩学、素材、空間演出 |
主な対象 | 建物の体や設備などの機能的側面 | 建物の外観や内装の美しさ・印象 |
担当者 | 建築士(特に構造・設備の専門家) | 意匠設計士、建築士(デザイン重視) |
まとめ:両者の違いを理解して理想の建物をつくろう!
建築設計と意匠設計は、共に建物づくりに欠かせない重要な役割があります。
建築設計は建物の安心・安全な機能をつくる役割。
意匠設計は建物の美しさや使い心地をつくる役割です。
つまり、安心して使える建物の「中身」と、見た目や感覚的な「外側」をそれぞれ作っているイメージです。
この違いを知ることで、例えば住宅づくりやリフォーム、または建築プロジェクトに参加するときに何を期待すべきか、どの専門家に相談すればよいかがわかります。
建物の魅力は両者の役割がうまく融合して初めて生まれます。
ぜひこの違いを理解して、理想の建築物づくりに役立ててください。
意匠設計の面白いポイントは、ただ見た目を作るだけでなく、建物がまわりの景色とどう調和するかも重要視されることです。例えば、日本の古い町並みに新しい建物を建てる時、意匠設計士はその場の雰囲気を壊さない色や形を選びます。これはまるでファッションのコーディネートのように、まわりと調和する美しさを考えているんですね。だから意匠設計は単なるデザイン以上に、環境全体を見ながら仕事しているんです。
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