
VLANとは?
まず、VLAN(ヴィーラン)とは「Virtual Local Area Network」の略で、仮想的に作られたネットワークのことを指します。通常、LANは物理的な場所で区切られますが、VLANを使うと実際の場所に関係なく、論理的にネットワークを分けることができます。
たとえば、会社の中で「営業部」「総務部」「技術部」と別れていても、同じ建物内のネットワークをVLANで分割すれば、お互いのネットワークを分けて安全に管理できます。これは情報の漏えいやトラブル防止にも役立ちます。
VLANを使うには、対応したスイッチなどのネットワーク機器が必要で、その設定によってどの端末がどのVLANに所属するか決まります。こうして同じ物理的なネットワークでも複数の独立したネットワークを作り出せるのがVLANのポイントです。
ルーティングとは?
一方、ルーティングは「経路制御」とも言い、異なるネットワーク同士が通信するときの道筋を決める仕組みです。たとえば、あなたのパソコンがインターネットを使うとき、どの経路を通って目的のサイトにたどり着くかを決めているのがルーティングです。
ネットワークは複数の小さなネットワークの組み合わせで成り立っているため、それらの間をつなぐルーターという機器が必要です。ルーターはパケット(ネットワークの情報の単位)を受け取り、目的地にもっとも適した経路を選んで転送します。
ルーティングには静的ルーティングと動的ルーティングがあります。静的は手動で経路を設定し、動的はルーター同士が情報を交換して自動的に最適な経路を選ぶ方法です。
VLANとルーティングの違いと関係性
VLANとルーティングの大きな違いは、「VLANは同じネットワーク内を仮想的に分ける技術」であり、「ルーティングは違うネットワーク同士の通信経路を決める技術」という点です。
簡単に言えば、VLANはネットワークの中の部屋を区切ることで、ルーティングはその部屋と部屋をつなぐ廊下を作るイメージです。
もしVLANでネットワークを分けた場合、異なるVLANどうしの通信は基本的にできません。ここで登場するのがルーティングで、VLAN間の通信を可能にする専用のルーターや「インターフェースVLAN」という設定を使い、VLAN同士をつなげます。
このように両者はそれぞれの役割を持ちながら、ネットワークを効率的かつ安全に使うために連携します。
VLANとルーティングの違いをまとめた表
項目 | VLAN | ルーティング |
---|---|---|
目的 | 同じ物理ネットワークを仮想的に分割 | 異なるネットワーク間の通信経路の制御 |
範囲 | 同一ネットワーク内の論理的区画 | ネットワークとネットワークの間 |
使用機器 | VLAN対応スイッチ、ブリッジ | ルーター、レイヤ3スイッチ |
通信可能範囲 | 同じVLAN内だけ | 異なるネットワーク間も可能 |
主な役割 | 安全性と管理性の向上 | データの転送経路の最適化 |
まとめ
今回はVLANとルーティングの違いについて、基本的な部分から詳しく解説しました。
VLANは同じ物理的なネットワークを複数の仮想的なネットワークに分ける技術で、組織内のセキュリティ強化や効率化に役立ちます。
ルーティングは異なるネットワーク同士をつなぎ、データの通り道を決める仕組みです。VLANで区切ったネットワーク間の通信もルーティングによって可能になります。
この2つの技術を理解することで、ネットワークの構築や運用がよりスムーズにできるようになります。ぜひ基本を押さえて、実際のネットワーク設定や学習に役立ててください。
VLANは単なるネットワークの分割だけでなく、管理の手間を大幅に減らす秘密兵器としても注目されています。実は、物理的なケーブルを引き直すのではなく、ソフトウェア的にネットワークを切り替えるので、引越しや部署の移動などでのネットワーク変更がとても簡単になるんです。
また、企業によっては、VLANごとに異なるセキュリティポリシーを設定することもでき、情報漏えいリスクを下げる役割も大きいんですよ。
ちょっとマニアックな話ですが、VLANのタグ付け技術(IEEE 802.1Q)は、実はネットワーク通信の中で「このデータはどのVLANのものか」を示す重要なラベルが付いているんです。これがあるからこそ、一つの物理線上で複数のネットワークが共存できるんですね。