
リース資産と使用権資産の基本的な違いとは?
みなさんは「リース資産」と「使用権資産」という言葉を聞いたことがありますか?どちらも企業が設備や物を使う際に関わる言葉ですが、実はそれぞれ意味や使い方に大きな違いがあります。
リース資産とは、企業がリース契約により借りている資産のことを指します。この資産を使う権利だけでなく、場合によっては実際の所有権もリース契約によって変わることがあります。
一方で使用権資産は、比較的新しい会計用語で、企業が賃貸やリースなどで特定の資産を一定期間使う権利を指します。所有権は持たず、あくまでも使用権に対して価値を認めて資産計上する考え方です。
この2つの違いは、資産の所有権の有無や会計上の取り扱いに関係しているのです。
それでは、具体的にどのような点で違うのか詳しく見ていきましょう。
リース資産と使用権資産の違いをわかりやすく比較!
ここではリース資産と使用権資産をわかりやすく比較するために表を作ってみました。
ポイント | リース資産 | 使用権資産 |
---|---|---|
所有権 | リース契約内容によるが、通常は貸主が保有 | 所有権はなく、使用権のみを認識 |
会計基準 | 旧リース会計基準に基づく | 新しい会計基準(IFRS 16や日本基準)に則る |
資産計上の方法 | ファイナンスリースは資産計上、オペレーティングリースは費用計上 | 基本的に契約に関わらず使用権資産として計上 |
期間 | 契約期間中のリース料に基づいて評価 | 契約期間全体の使用権に対して評価 |
減価償却対象 | リース資産として減価償却 | 使用権資産として減価償却 |
このように、リース資産と使用権資産は見た目が似ているものの、会計処理の方法や資産の認識の仕方に違いがあります。
特に使用権資産は、2020年代に入ってから導入された新しい基準により多くの企業が採用している方法で、資産と負債の両方をバランスシートに計上する特徴があります。
リース資産と使用権資産の会計処理が企業に与える影響とは?
リース資産と使用権資産の違いを理解することは、企業の財務状況を正しく把握するためにとても重要です。
旧来のリース資産ではリースの種類によって資産計上の有無が変わるため、企業はオペレーティングリースを使って負債を見えにくくすることも可能でした。
しかし使用権資産の会計基準が適用されることで、全ての長期リース契約に対して資産と負債が計上されるようになりました。これにより、
- 財務諸表の透明性が高まる
- 借入金のような負債の増加が見える化される
- 企業の資産利用状況の実態把握がしやすくなる
というメリットが生まれています。
逆に、財務数値の見え方が変わるために、借入金比率や自己資本比率などの指標が変動しやすくなり、投資家や銀行からの評価が変わるケースもあります。
このようにリース資産と使用権資産の違いは単なる会計上の表現の違いだけでなく、企業の経営判断や外部評価に大きな影響を与えるのです。
リース資産の中でも特に面白いのは、ファイナンスリースとオペレーティングリースの違いです。ここで注目したいのは、ファイナンスリースは実質的に資産の所有に近い状態として扱われるのに対し、オペレーティングリースはレンタルのような感覚で費用として扱われることです。でも、近年の会計基準変更でこの区別が曖昧になりつつあります。使用権資産として一括計上が求められることで、オペレーティングリースも資産計上対象になり、企業の負債が増えたように見えることもあるんですよ。勉強すると意外と奥が深い世界です!