
代理人と受任者の基本的な違いとは?
法律の話をするときによく出てくる言葉に、「代理人」と「受任者」があります。どちらも人の代わりに何かをするというイメージがありますが、実は役割や意味が少し違います。
まずはこの二つの言葉の意味を見ていきましょう。
代理人とは、ある人(本人)の代わりに法律行為を行う人のことを言います。例えば契約などで、本人に代わって意思表示を行って、本人に法律的な効力が及ぶ場合の人が代理人です。
一方で、受任者は、誰か(委任者)から仕事を頼まれて引き受けた人のことで、法律行為を必ずしも行うとは限りません。受任者は委任契約に基づいて仕事をしますが、その仕事の内容はさまざまです。
このように代理人は本人の代わりに法律行為を行う人、受任者は委任された仕事をする人という点で違いがあります。
まずはこの基本を押さえておきましょう。
代理人と受任者の法律上の役割の違い
代理人は法律で決まった権限を持って本人に代わり法律行為を行います。つまり、代理人の行為は直接本人に効力が及びます。例として売買契約の代理や不動産の処分などがあげられます。
代理人は本人との契約(委任契約)がなくても、法律や法律関係に基づいて代理権を持つ場合もあります(法定代理人など)。弁護士や親権者が代表的な例です。
一方、受任者は委任契約に基づき受任した仕事を行う人で、受任行為は受任者自身の行為であり直接本人の法律効果は及びません。例えば、顧客のために書類を作成する、相談に乗る、資料を集めるなどの仕事が多いです。
受任者が契約などの法律行為を本人に代わって行う場合は、代理人としての役割も持つことになります。つまり代理人は必ずしも受任者ではありませんが、受任者が代理人として行動することはあるのです。
代理人と受任者の違いがわかりやすい表
ポイント | 代理人 | 受任者 |
---|---|---|
役割 | 本人に代わり法律行為を行う | 委任された仕事を行う |
法律効果 | 本人に直接及ぶ | 受任者自身の行為として扱われる |
代理権の有無 | 代理権を持つ(法律や契約に基づく) | 代理権は必ずしも持たない |
例 | 弁護士が依頼者の契約を代理で行う 親権者が子どもの法律行為を代理する | 弁護士が法律相談を受ける 行政書士が書類作成を行う |
代理人と受任者の関係と使い分けに注意!
日常生活やビジネスの中で代理人と受任者が混同されがちですが、法律的には役割がハッキリ分かれています。
具体的には、代理人は契約書にサインをしたり、法律効果のある行為を本人に代わって行うことができます。しかし、受任者は委任された業務を誠実に遂行する義務はありますが、直接本人に法的な効果を及ぼす行為はするとは限りません。
また、代理人になるためには代理権が必要ですが、受任者になるためには委任契約だけで十分です。
簡単に言えば、代理人は人の『法律上の代理』をし、受任者は『仕事の受け手』というイメージで区別できます。
ですので、契約の場面では「この人が正式な代理人かどうか」、仕事の依頼の場面では「これは受任行為か代理行為か」を正しく判断することがトラブル防止にもつながります。
代理人と受任者の違いを深く考えると、実は“代理人は法律行為をする人”という点が大きなポイントなんです。受任者は例えば書類を作ったり、相談に乗ったり仕事を引き受けて動くけれど、例えば契約のサインや本人の代わりに物を売るなどの法律的な影響のある行為は、代理人でないと行えません。つまり、受任者は“仕事をする人”、代理人は“法律の場で本人の代わりをする人”と覚えるとわかりやすいですね。面白いのは、受任者が代理人になることもあれば、受任者で留まるだけのこともあるという点です。法律の世界はこうした役割の違いをはっきりさせることで、安心して依頼や契約ができるようになっているんですね。
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