
イーサネットとフィールドバスの基本的な違いとは?
イーサネットとフィールドバスは、どちらも工場の自動化や制御システムで使われる通信技術ですが、それぞれの役割や特性には大きな違いがあります。
イーサネットはパソコンやネットワーク機器でよく使われる通信規格で、高速なデータ転送が可能です。一方、フィールドバスは主に現場の計測機器や制御装置同士をつなぐための規格で、信頼性やリアルタイム性を重視します。
一言で言うと、イーサネットは多くのデバイスを高速に繋ぐネットワーク、フィールドバスは制御現場での確実な通信を目的としたバス型ネットワークだと理解できます。
この違いを知ることは、制御システムの設計やトラブル対策にとても役立ちます。
イーサネットの特徴と利用される場面
イーサネットは世界中で最も普及しているネットワーク規格で、家庭やオフィスはもちろん工場のオートメーションでも使われています。
主な特徴としては、高速通信ができること、既存のネットワークインフラと連携しやすいこと、幅広いメーカーから対応製品が出ていることが挙げられます。
イーサネットは
- 通信速度が100Mbpsから10Gbps以上と非常に速い
- イーサネットケーブル(LANケーブル)で接続する
- 標準化が進んでおり相互接続が容易
しかし制御装置のリアルタイム制御には遅延や通信のバラツキが発生しやすいため、専用のプロトコルや拡張技術が必要な場合もあります。
フィールドバスの特徴と使われる理由
フィールドバスは工場の現場で多く使われる産業用通信規格です。例えば、温度センサーや圧力計、モーターコントローラなどが繋がる現場で使われ、非常に高い信頼性と正確なタイミングでの通信を実現します。
代表的なフィールドバス規格には、PROFIBUS、DeviceNet、Modbus、CC-Linkなどがあります。
特徴としては
- 決められた時間内に必ず通信が完了するリアルタイム性の高さ
- ノイズに強く、遠距離通信が可能
- 小規模から中規模制御ネットワークに適している
これらの特徴は現場での安定した動作や安全性を確保する上で非常に重要です。
イーサネットとフィールドバスの比較表
特徴 | イーサネット | フィールドバス |
---|---|---|
主な用途 | オフィスネットワーク、工場の上位ネットワーク | 工場の現場機器同士の制御通信 |
通信速度 | 100Mbps~10Gbps以上 | 数kbps~12Mbps程度 |
リアルタイム性 | 標準では低いが技術により向上可能 | 高い(時間制約を厳守) |
通信距離 | 100m程度(スイッチ接続で拡張可) | 遠距離通信可能(数百メートル~数キロ) |
ノイズ耐性 | 中程度 | 高い |
配線形態 | スター型など | バス型 |
普及度 | 非常に高い | 産業用に特化 |
まとめ:用途に応じて使い分けよう
イーサネットとフィールドバスはそれぞれ得意な分野が違うため、工場やシステムの目的に合わせて選ぶのが大切です。
高速で多くのデータを扱う場合やネットワーク構築を簡単にしたい場合はイーサネット、リアルタイム性や信頼性が最優先ならフィールドバスが適しています。
最近ではイーサネットベースにリアルタイム制御機能を持たせた
EtherCATやPROFINETなどの技術も登場し、両者の良いところを組み合わせた利便性の高いシステムも増えています。
これから学ぶ人も、まずは両者の基本的な違いと特徴を理解しておくことで、将来の技術選択やシステム設計に役立つでしょう。
イーサネットは普段パソコンのネット接続でよく使われていますが、実は工場の制御システムでも使われるようになってきました。例えばEtherCATというイーサネットをベースにした規格は、従来のフィールドバスのリアルタイム制御性能を取り入れて、すばやく正確に機械を動かすために使われています。これにより、工場全体の機械同士の連携がよりスムーズになっています。まるで家のWi-Fiを工場のロボットに応用したようなイメージですね!