
ストックオプションと新株予約権の基本的な違いとは?
まずはストックオプションと新株予約権の違いを簡単に説明しましょう。
ストックオプションとは、会社が社員や経営者に対して将来、決まった価格で自社株を購入する権利を与える制度のことです。
一方、新株予約権は会社が新たに発行する株式を一定の条件で購入できる権利で、会社の資本政策として活用されることが多いです。
この二つは似ていますが、ストックオプションは主に社員のやる気アップやインセンティブに使われ、新株予約権は会社が資金調達や株主構成の調整に使うことが多い点で違いがあります。
わかりやすく言うと、ストックオプションは“社員へのプレゼント的な権利”、新株予約権は“会社が資金集めのために作る権利”というイメージです。
具体的な仕組みと使い方の違いについて
では両者の仕組みや使い方をもう少し詳しく見ていきましょう。
ストックオプションは、会社が社員に「今の価格で将来株を買う権利」を一定期間与えます。
例えば1株1000円の株が、3年後にもし2000円になっていたら、社員は1000円で買えて、差額の1000円分の利益を得ることができます。
この仕組みで社員が会社の業績や株価アップに貢献すると、モチベーションが上がるというわけです。
また、ストックオプションは通常、行使可能になるまでの期限(権利確定期間)や行使期限が決まっています。権利確定期間までは行使できません。
一方、新株予約権は会社が新株を発行して、その取得権を第三者や投資家、社員などに発行します。
新たに株を発行するため資本金が増え、会社の資金調達にもつながります。
このため、新株予約権はベンチャー企業が資金を集める時に使われることも多いです。
注意点としては、新株予約権を発行すると既存株主の持ち株比率が低くなる“希薄化”が起きることです。
このあたりは株主の理解が必要です。
それぞれのメリットとデメリット、注意点
- ストックオプションのメリット
・社員のやる気アップに効果的
・現金の支出が少なくインセンティブ設計ができる
デメリット
・株価が下がると価値がなくなる
・税制や会計処理が複雑な場合がある - 新株予約権のメリット
・会社の資金調達につながる
・株主の構成を調整しやすい
デメリット
・既存株主の持ち株比率が下がる(希薄化)
・権利濫用のリスクがある
これらを踏まえて、ストックオプションは社員への報酬やインセンティブ用、新株予約権は会社の資本金を増やしたり投資家への権利付与用に使う、と認識するのがポイントです。
まとめ:混同しやすいけど目的と発行主体が異なる
最後に簡単にまとめます。
ストックオプションと新株予約権は似ているようで目的や使われ方、発行主体が違います。項目 ストックオプション 新株予約権 目的 社員へのモチベーション向上
・報酬資金調達
・株主配分の調整発行主体 主に会社が社員に付与 会社が投資家などに発行 株式の発行 自社株の買い取りが前提の場合が多い 新株の発行を伴うことが多い リスク 株価下落で権利価値が減少 既存株主の持ち株比率が下がる可能性
このように、それぞれの特徴を理解しうまく使い分けることが重要です。
わからないときは専門家に相談するのがおすすめです。
ストックオプションは社員のモチベーションアップを目的に与えられますが、実は権利をもらった社員の側は株価の変動によって大きく得をしたり損をしたりするリスクもあるんです。例えば、会社の業績が悪く株価が下がれば、せっかくの権利も価値がなくなることがあるので、『ただの夢物語』にならないように社員も会社の成長を応援し続ける必要があります。これがストックオプションの面白さであり難しさでもあるんですね。