
抵当権抹消と根抵当権抹消の基本的な違いとは?
抵当権抹消と根抵当権抹消という言葉は、不動産の担保に関わる専門用語としてよく登場します。
まず、抵当権とは、住宅ローンなどで借金をする時に、返済が滞った場合に備えて土地や建物などの不動産を担保にする権利のことです。
これに対して根抵当権は、一度設定すると継続的な借入額の範囲内で、複数回の借入れや返済が可能な担保権のことを意味します。
「抹消」とは、その担保権を登記簿から消すこと、つまりその担保がなくなったことを示す手続きのことです。
この2つの抹消は似ているように見えますが、性質や手続きに違いがあります。
簡単に言うと、抵当権抹消は単一の借入れの完済に伴って行い、根抵当権抹消は枠全体の借入れを終え、根抵当権そのものの効力をなくすために行う手続きです。
ここからはその違いを更に詳しく説明していきます。
抵当権抹消の特徴と手続きの流れ
抵当権抹消は一般的に住宅ローンや事業ローンなど、一回限りの借入れに対して設定された抵当権の解除手続きです。
借金を全て返済し終えると、担保としての効力がなくなるため、抵当権抹消登記をしなければなりません。
手続きのポイントは以下の通りです。
- 必要書類:抵当権設定契約書や登記事項証明書、金融機関からの完済証明書
- 申請者:通常は債務者(借り主)や司法書士
- 申請先:不動産がある場所の法務局
- 費用:登録免許税(抹消1件につき1,000円)
抹消の申請は返済完了後に行い、これによって不動産の権利関係がクリアになります。
抵当権抹消の最大の特徴は、借入が完済した時点で行う点で、単発の借入れに対して行われることです。
根抵当権抹消の特徴と手続きの流れ
根抵当権は銀行などが継続的に融資を行う際に契約するケースが多く、設定した枠内で何度も借入と返済ができる柔軟な担保権です。
根抵当権そのものを抹消する場合は、根抵当権設定契約が終了した場合か、設定された限度額の枠を解除したいときなどです。
根抵当権抹消のポイントは下記の通りです。
- 必要書類:根抵当権設定契約書、登記事項証明書、債権者からの解除証明書
- 申請者:債務者・債権者・司法書士
- 申請先:不動産所在地の法務局
- 費用:登録免許税1,000円
根抵当権抹消は、借入れの一部返済ではなく、根抵当権枠自体を終了させたい場合に行う点が抵当権抹消と異なります。
例えば、事業資金の枠をもう使わないと決めた時や抵当権設定を根本的に解除する時に必要な手続きです。
抵当権抹消と根抵当権抹消の違いをわかりやすくまとめた表
ここまで解説した内容を以下の表にまとめました。
項目 | 抵当権抹消 | 根抵当権抹消 |
---|---|---|
設定される担保 | 一回限りの借入に対する担保 | 継続的な借入枠に対する担保 |
抹消のタイミング | 借入金全額返済後 | 借入枠を終了または解除したい時 |
手続きの目的 | 借入の完済による担保解除 | 根抵当枠の解除や設定契約の終了 |
主な必要書類 | 完済証明書・登記事項証明書 | 解除証明書・登記事項証明書 |
登録免許税 | 1,000円 | 1,000円 |
このように、抵当権抹消は単純に借入が終わった後の解除手続きであるのに対し、根抵当権抹消は継続的な融資枠自体を終了させる重要な手続きです。
この違いを理解すれば、不動産の担保権についての知識がぐっと深まります。
根抵当権ってちょっと不思議な存在ですよね。普通の抵当権は、借りたお金を返したらすぐに解除されますが、根抵当権は設定した限度額の範囲内なら何度でも借りたり返したりできるんです。たとえば、事業資金を何度も借りたり返したりする会社にとって、とても便利な仕組みです。ただ、便利な分、抹消するときは契約そのものを終わらせる必要があって、単に返済しただけでは終わらないという点がポイントです。だから根抵当権の抹消には、少し時間や手間がかかることもありますね。
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