EPSとPNGの違いを完全解説｜印刷とWebで迷うあなたへ、使い分けのコツ

---

EPSとPNGの違いを理解するための全体ガイド

EPSとPNGは、デザインや印刷、ウェブ制作で頻繁に使われる代表的なファイル形式です。
それぞれの特性を正しく知っておくと、「どんな場面でどの形式を選ぶべきか」が自然と見えてきます。
この章ではまず、基礎となる考え方を整理します。
結論から言えば、拡大しても画質が崩れない場合はEPS、背景を透明に保ちつつウェブで表示したい場合はPNGが基本の選択です。
ただし、現場には印刷・デザイン・Webの三つの領域が混在しており、一部のケースでは両方を使い分けるのが普通です。
以下で、それぞれの形式の特徴・長所・短所・使い分けのコツを詳しく見ていきます。

EPSの特徴と用途

EPSはEncapsulated PostScriptの略で、主にベクトルデータを扱うファイル形式です。
ベクトルデータは数式で形を決めるため、拡大しても滑らかな線が保たれ、ロゴやアイコン、文字などの再現に最適です。
印刷物ではシャープなエッジと正確な色再現が求められる場面で強力な武器になります。
また、別のソフトへデータを渡すときにも互換性が高く、色指定をPantoneカラーなどの特殊カラーで管理できる点が大きな利点です。
一方でEPSは「ポストスクリプト」という言語を使う形式のため、出力環境やソフトの組み合わせ次第で表示・編集のタイミングが複雑になることがあります。
特にウェブ表示には適していないため、印刷物のデータ作成時に中心となる選択肢として使われることが多いのが特徴です。
総じて、「拡大しても品質が落ちない図形データ」を扱うときに最適な形式です。

EPSは、図形のボリューム感やグラデーションの表現にも強みを発揮します。
ただし複雑なラスタライズ済みの要素が混じるとファイルサイズが大きくなることがあり、適切な圧縮・トリミングが必要になる点にも注意が必要です。
印刷の現場では、実務のワークフローとしてIllustratorやInDesignと連携して使われることが多く、チーム内でのデータ受け渡しがスムーズになります。

PNGの特徴と用途

PNGはPortable Network Graphicsの略で、主にラスタデータを扱う画像形式です。
ピクセル単位で色を表現するため、写真やウェブ用の画像、スクリーンショットなどに適しています。
PNGの大きな特徴は「透明度をサポートするアルファチャンネル」がある点で、ウェブデザインやUIデザインで背景を透かして表示したいときに強力です。
圧縮はロスレス方式で行われるため、画質を保ちながら容量を抑えることができます。
ただし、解像度を上げるとファイルサイズが急速に大きくなるため、印刷用途にはあまり適していません。
日常的にはウェブ上のロゴ・アイコン・図表・写真風画像など、視覚的な要素として幅広く使われます。
PNGはOSやブラウザの互換性が高く、誰もが簡単に表示・編集できる点も魅力です。
総じて、「ウェブ表示・UIデザイン・透明背景が必要な場面」で最も頼りになる形式です。
なお、PNGは多くのカラーモードに対応しますが、印刷用途ではCMYKへの色管理が難しい場合があるため、注意が必要です。

使い分けの実例と注意点

実務では、データの用途と出力先を最初に決めておくとミスが減ります。
例1：会社のロゴを印刷物とウェブで使い分ける場合、印刷用はEPS、ウェブ用はPNGと分けて準備するのが基本です。
例2：写真をウェブページに表示する場合はPNGよりもJPEGが適している場面が多いですが、ロゴやアイコンを混ぜるときはPNGで透明背景を活かすとデザインが美しくなります。
例3：長期保存するデータは、編集可能性と将来の拡張性を考えてEPSを保存ソースとして残し、最終出力はPNGで公開・配布するという二段構えが安定します。
注意点としては、EPSは最新ソフトの機能を使いすぎると他の環境で崩れることがある点、 PNGは透過を扱う場合の配色設定に注意が必要な点です。
このように、用途と環境を見極めて使い分けることで、デザインの品質を保ちつつ作業を効率化できます。

able>項目EPSPNG形態ベクトル中心ラスタ中心拡大時の画質無劣化解像度依存透明度状況依存（扱いはソフト次第）アルファチャンネルで透明度完全対応主な用途印刷用・ロゴ・図形ウェブ・UI・写真風素材相性の良いソフトIllustrator、InDesignなどほぼすべて（ブラウザ含む）ファイルサイズの目安複雑でなければ小さめ写真・複雑画像は大きくなりがち

この表を参考に、場面ごとに適切な形式を選択すると、後からの修正やデータの共有が格段に楽になります。
また、最終出力の前には必ず出力プレビューを行い、色味・透明度・解像度が目的に合致しているかを確認しましょう。
デザインの現場では、「一度の出力で完結させようとせず、段階的な出力を用意する」という考え方が品質を守るコツです。

ピックアップ解説

今日はEPSとPNGの話題をちょっと深掘りしてみます。キーワードの一つとして『透明度』を取り上げると、PNGはアルファチャンネルで透明度をきれいに表現できる点が強みです。対照的にEPSはベクトルの美しさを保つのが得意ですが、透明度の扱いはソフトや出力環境に依存することが多く、注意が必要です。つまり、透明な背景をそのまま活かしたいウェブデザインにはPNG、拡大しても線がギザつかないロゴや図形を印刷物に使いたいときにはEPS、と覚えておくと混乱を避けられます。これをひとつのコツとして覚えておくと、データの無駄なコピーを減らして作業がスムーズになります。

---